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似非紳士vs手練れ男 (4)

「な、な、な、なにするんですか!敦賀さん!!!」

思いもよらぬ蓮の行動に、固まっていた体が一気に解け、キョーコはビクッと飛び上がった。
「ん?美味しそうだなと思って。」
なんでもないような顔をして、蓮がにっこり微笑む。
それからちらりと貴島に目を向けると、ゆらりと体を下げて、キョーコと顔が並ぶように姿勢をとった。

「この抹茶アイス、すっごく美味しいよ。貴島君。」
あえて、その位置から貴島に話しかける。

『ふーん・・・。』
(敦賀君、それってもしかして俺に対する宣戦布告のつもり?
もっともその割に、俺より京子ちゃんのほうが慄いちゃってるみたいだけど。)
心の中ではふふんと笑う貴島の片眉が、ピクリと上がった。
(まあ、敦賀君がそのつもりなら俺、受けて立っちゃおうかな。)

「そう、よかった。」
蓮に向かいそう言うと、にこっと笑い、貴島はスプーンを持った手を持ち上げた。
「じゃあ、京子ちゃんにはこっちをあげるね。はいっ、あ~~んっ!」
蓮の行動にぽかーんと空いたままになっていたキョーコの口に、リズミカルな動きでスプーンが差し込まれる。
反射的にぱくっと食べてしまうキョーコ。

(あ、白玉も美味しい。・・・・・・・・・じゃなぁーーーーーーーーっい!!!!)

再び固まるキョーコ。
茫然とする蓮。
にやりと笑う貴島。

(こ、こいつ・・・・・・。)

笑顔こそかろうじて崩していないものの、蓮の頬骨付近がピクピクと引き攣る。


「ああ、だめだよ。貴島君。最上さんは、君の周りにいる女性たちとちがって、純情な子なんだからね。それほど親しくない君が突然そんなことしたせいで、すっかり固まっちゃったじゃないか。」
ふつうにしゃべっているようでいて、じつは“親しくない”という部分だけ妙に力がこもってしまったことに蓮自身も気づいていない。

「びっくりしたよね、最上さん。貴島くんはちょっとかわいい子をみると、だ・れ・に・で・も、ど・こ・で・も、そういうことするからね。とんだスキャンダルの種にもなりかねないから気をつけて。誘われたからって、すぐついていっちゃだめだよ。」
いかにも冗談っぽい調子で、蓮がにこにこ話を続ける。

「ひどいなあ。敦賀君。京子ちゃんにそんなこと言わないでよ~。俺けっこう本気で狙ってるんだからさ。」
何を言われてもどこ吹く風。貴島はまったくとりあわない。
そんな貴島の表情に、一瞬「ちっ」とらしからぬ行動をとりかけた蓮だったが、かろうじてそれは抑え次の行動に出た。

「あ、最上さん。その白玉もおいしそうだね。ちょっと、ちょうだい。」
ふたたびキョーコの手を握り、その手ごとスプーンを使って、白玉、いや残りのあんみつを勢いよく食べ続ける。
もはや、キョーコはされるがまま状態だ。
「うん、やっぱり美味しい。」
キョーコにはそれはそれは優しげな似非笑みを、貴島には瞳に刃を秘めた微笑みを送る蓮。
「すごく美味しくて、つい全部食べちゃった。」
先輩俳優のあり得ない行動に、キョーコの口から魂がぬけていく。

「ほらほら、敦賀くん。美味しいもの食べたときはちゃんと美味しい!っていう顔しなきゃ。今の君、なんだかちょっと目つきが鋭いよ~。こんなに美味しい白玉あんみつを食べた顔じゃないなあ~。」
しれっとそう言い、あははと笑う貴島。

「さ、て、と。冗談はこれくらいにして───。
ねえ、敦賀君、そろそろ撮影再開の時間だよ。もう戻らないと。」
すっと立ち上がると、貴島はぽんっと蓮の肩を叩いた。

「じゃあね、京子ちゃん。今日は会えて嬉しかったよ。俺のわがままにつきあってくれてありがと!この御礼は改めてするね。
俺たちはこれで失礼するけど、君はゆっくりしてって。」
じゃあね~、と言って明細をもつ手を後ろ手に振りながら、ほらほらいくよ、と貴島が蓮の背を押す。
その貴島の手をさりげなくすりぬけ、立ち去り際に蓮はキョーコにそっとささやいた。

「最上さん。甘いものが食べたくなった時は・・・ううん、そうじゃなくても、こういう不測の事態が起きた時は、まず俺に相談しようね。どうすればいいか、一番賢い方法を教えてあげるから。ほら、なにかまずいことが起きてからじゃ遅いからね。」

(はい。わかりました。たしかに変なスキャンダルとかになったりしたら、相手の方にも迷惑ですものね。

・・・・・・って、あれ?なんで?なんでわざわざ敦賀さんに相談しなくちゃいけないの?どうしてー!?)

あとに残されたキョーコの頭の中では、先輩俳優が落としていった少々納得いかないひと言への疑問が渦を巻くのだった。


* * * * *


なるほど、そういうわけか。
よくわかったよ、敦賀君。

まあいいけどね。
でも、そんな調子だとあの鈍感娘はいつまで経っても落とせないと思うよ。
実際、間違った方向に勘違いされまくりみたいだしさ。
いつか分かってもらえるとか優しく見守っていこうなんて呑気に構えてて、後で後悔することになっても・・・しらないからね。

ああ、そうそう、敦賀君。
君はなにか勘違いしてるようだけど、俺、別に揉め事が苦手なタイプとかじゃないから。
ただ、つまらないことで面倒に関わるのを避けてるだけ。
女の子は大好きだけど、それ以上に俺は仕事が大事だからさ。

ふだんの俺をほんの少し見ただけで勝手にいろいろ判断してもらいたくはないな。
ま、そういうところが君の“若さ”だよね。
見た目の割に純だよな、君も。いやどっちかっていうと、“純”じゃなく“鈍”かな?

ふふっ。
言っておくけど、俺、本気の場合はけっこう戦うタイプだからね。


だから、これからもよ・ろ・し・く。


心の中でそう言ってにやりと笑う貴島なのだった。





fin

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コメント

  • 2014/03/06 (Thu)
    13:21
    キュンキュンvv

    コメント返信ありがとうございます!!
    すっごく嬉しかったです(*^^*)

    昨日、短編一気によんでしまいましたぁ!!
    もぅ、キュンキュンしっぱなしでしたっ
    社さんシリーズも、この貴島さんとのお話も、キョーコちゃん目線以外の敦賀さんが見れて、うはうはしちゃいましたっ

    chimaris #- | URL | 編集
  • 2014/03/06 (Thu)
    22:56
    Re: キュンキュンvv

    > chimarisさん

    気ままに書き綴ったお話の数々ですが、chimarisさんにキュンキュンしていただけて本当に嬉しいです♪
    社さんも貴島さんも大好きなキャラなので、二人が活躍する二人視点のお話をまた書けたらいいなあなんて思っていますので、またぜひ遊びにいらしてくださいね^^
    お待ちしております!

    ちなぞ #- | URL | 編集

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