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ACT.194 黒の息吹 の続き(になってない)妄想

amebaサイトに限定で載せていた懐かしい記事(なんと、2012年11月11日の記事!)を読者様からのコメントで発掘しました。
「あれ?これ載せてなかった!」ということで掲載させていただきます。
(本来は旧日付でUPするべきですが、埋もれちゃうので最新日付で^^;)
すでにコミック発売されているシーンの続き妄想なので、限定解除でUPします。



・・・長い髪がさらりと揺れる。

視線の先でちろちろと生き物のように蠢く舌先。
凶暴な色香が俺の身体を舐めまわすように纏わりつく。
下腹部に感じる心地よい重みと胸元に置かれた手の冷たさ。

組み伏せられた驚きよりも、目の前の君に俺の心は埋められている。

この繊細な身体を翻弄できたら、君はどれほどの艶を見せてくれるだろうか。
ただ、痛めつけるのでなく、自分から求めさせるまでに追い詰めたなら・・・。



「ばかね。兄さん。」

疾しい心を制するように遠くから彼女の声が響いた。
“セツ”の音吐。

久遠を剥き出しにしたというのに。
その身体を組み伏せ、欲望を叩きつけようとしたのに。
それなのに君はまだ“演じる”つもりなのか。
俺が演技を放棄したことにももう気づいているだろうに、それでも。

愚直とさえ言いたくなるその態度にもどかしいほどの怒りがこみ上げる。
そんな俺のことなど意にも介さず、彼女が口を開いた。

「どうでもいい他人のフリしてもダメよ。」

他人・・・?
彼女は何を言っている?
そうやって・・・なかったことにする気か。
諦めに似た感情が俺の中を通り過ぎ、空いた隙間に邪念が滑り込む。

「アタシは兄さんにしか興味がないんだから。どんな態度をとろうと、どんな行動を起こそうと、兄さんならいいの。」

紡がれる言葉よりも、その唇の艶めかしい赤さに魅せられた。
ちらちらと蠢くその舌を、今すぐ激しく狂おしく貪りたい。
欲望が、内から強くこみ上げる。
それは久遠の情動か。蓮の機微か。
あるいは、その両方なのか。


「ほかのオトコなんてどうでもいい。」

不意に片手を取られ、誘われるがままにそれが彼女の胸へと運ばれた。

指先に響くドクドクと跳ねる心臓の音。
さっき感情に任せて好きに走らせた指先が、今は凍りついたように動かない。
いや・・・動かせない。

「アタシはいつだって兄さんのモノ。」

掴んでいた手が離れ、細い指先が今度は俺の顔に近づいてくる。
唇をなぞるように辿られ、衝撃に言葉を失った。

(忘れるな。これは・・・“セツ”だ。)



「そして兄さんはアタシのモノ。ここにいる・・・カイン兄さんはアタシだけのモノ。」

「君は・・・」
絞り出した言葉を閉ざすように唇に指を留める君。
そして、小さな掌が俺の頬を包んだ。
ヒンヤリとした指先がスルスルと頬を撫で、俺の中の“男”がその動きに翻弄される。

「そうでしょ?」
彼女の瞳は揺らがない。

「・・・でも、うれしい。どうでもいいバカなオトコのことなのに、あんなに怒って・・・。」

これは“セツ”。
俺の中のカインだけを見つめる“セツ”。
必死にそう言い聞かせる。

そして彼女は小首を傾げ、視線を上に逸らし、可笑しそうに口端だけ緩ませながら言う。

「まるでアタシのことしか見えないオトコみたいで・・・たまらない。」
だから、あのまま流されちゃおうかと思ったわ・・・囁くように、言葉がそう続いた。

たとえそれが“セツ”の台詞でも・・・俺はその言葉に胸を突かれた。

さっきあっさり身体を返されたのは、心のどこかにこの自分を振り払ってほしいという気持ちがあったせいかもしれない。
それなのに君という人は・・・。


「ああ、そうね。・・・それもいいかも。」
動かない俺を弄ぶように、彼女の白く細い指先が、胸元のジッパーにかかる。

「ねえ、兄さん。アタシはかまわないのよ。」
アーモンド色の瞳が妖しく瞬き、俺を真っ直ぐ貫いた。

ジジジ・・・ジジー・・・

微かなはずの音が、異様に鼓膜を刺激する。
次の瞬間、強く音を立ててジッパーが一気に下げられた。
彼女の両手が、俺の上衣をぐっとを左右に開くように引き剥がす。
冷ややかな空気が、すーっと撫でるように胸元を滑った。

「なっ!」
とっさにあげかけた手首が、上からぐっと押さえつけられる。
全霊をかけたその重み。

「だって、愛してるもの。」

(アイ・・・シテル。ダレガ・・・ダレヲ・・・?)
“最上キョーコ”から聞きたかった言葉が、同じその口から発せられ、動きが止まる。
だが一方でそれは、ただ意味のない記号として、俺の脳裏を通り過ぎていった。
ここにいるのは、間違いなく“セツ”だから。
“敦賀蓮”と同じ、作られた人格だから。
それでも・・・。

視線を逸らすことなく近付く顔。
唇を弄(まさぐ)る吐息。
鼻孔を擽る“セツ”の香りに、彼女の匂いが入り混じる。

力を入れれば、すぐ押し退けられるだろうその身体を、俺はどうしても撥ね退けられない。

「ねえ・・・?今すぐ・・・どうにかしてほしい?」

吐き出された言葉を解する前に、彼女の唇が晒された素肌に触れた。

(うっ・・・)

噛まれたような鋭い痛みととてつもない快感が身体を走る。
やがて硬直した身体を、じわじわと何かが滲み出るような感覚が包んだ。

(・・・だめ・・・だ。)

「これは約束の印。」

(君は・・・何を言っている?何をしている?)
混乱する頭に、ただ彼女の声が通り過ぎていく。

「何があっても、私は兄さんを愛してる。」
吸いついた痕を指でそっと擦る彼女。

「何があっても、兄さんから離れない」
強い視線が俺を射抜いた。

「たとえば・・・兄さんが人殺しだとしても、私は兄さんを愛し続ける。傍に居続ける。」
細められた瞳に宿る聖母の眼差し。
その光に、俺の中にある闇の魂が抗い難い力で引き寄せられる。

「そう・・・。兄さんに殺されるとしても・・・本望なくらい。」
何を言われようと、俺は君から目を・・・逸らせない。

「だから、兄さんがどうしてもすべてから逃げ出したくなったら・・・」
細い両手が俺の首にかかった。

「アタシが、兄さんを殺してあげる。」
細くて、冷たくて、小さくて、やわらかい。
その手が真綿で締め付けるようにゆっくりと俺の首を絞める。

「そして、アタシも一緒に死んであげる。」

俺の罪を一緒に背負ってくれると、そう言われているように思えた。

それなら本当に・・・このまま殺されてもいいと思った。
君が一緒に何処までも墜ちてくれるなら。

だから俺は抵抗もせず、彼女を見つめ続けた。


「それぐらい、兄さんはアタシのすべてなの。」
そういうと彼女は手を外し、茫然とベッドに横たわる俺を尻目に、音もなくベッドを降りた。

「逃げようとしてもムダよ。ぜったいに、ぜったいに離れない。アタシは兄さんを離さない。」
背を向ける彼女。
そこから、微かに届く声。


「・・・わかりますか?敦賀さん。」


(なっ!)

思わず半身を起した。
そんな俺にかまうことなく、彼女は落ちた携帯の元へ歩みを進める。
そして優雅な動作で携帯を拾い、“セツ”の笑みをこちらに向けた。
どこにも、“最上キョーコ”は見えない。
ほんの小さな面影すら。

(さっきのは、幻聴だったのか。それほど俺は・・・彼女が欲しいのか。)

「本当にバカな兄さん。あんな電話にまでやきもちを焼いて。」
そして見せつけるように携帯を顔の横に掲げる

「コレがあるから兄さんがオカシクなるのね。だったら・・・。こんなモノいらない。」

ガタンッ
大きな音を立てて、携帯がゴミ箱に落ちる。
その音を確かめると、“セツ”はこの上なく、淫靡な笑みを浮かべて俺をみた。

「ねえ・・・これで少しは安心した?」

気がつけば俺は彼女に向けて両手を差し出していた。
まるで・・・そう、女神に救いを求める僕(しもべ)のように。

その腕の中に吸い込まれるように身を寄せ、俺の頭を胸に抱き取る“セツ”。
その温もりが俺の心を静めていく。
ゆるゆると。
俺はその温もりに身を任せる。

「いい?兄さん。何度でも言うわ。たとえそれが地獄の果てだろうと。」
彼女の指先が俺の髪を掬う。

「兄さんさえいればいいの。」
何度も何度も行き来する指先の心地よさ。
俺はただソレに縋る。

「一緒に堕ちていきましょう?アタシはどこまでもついていくから。」

その言葉とその温もり。
それを与えられるだけで、荒んだ心が静まっていく。

「だから・・・」
このまま彼女に絡め取られてしまいたい。

「兄さんの世界に、アタシも連れていって。」


「ううん。それより・・・。」
いつの間にか彼女は俺のベルトを手にしていた。
そして徐にその輪を俺の首にかける。

「兄さんこそ・・・。こうやってアタシだけにつながれて。」
ゆるりと首輪のようにベルトを締められた。
次第に喉仏に食い込んでいく軋みに、恍惚さえ覚える。

「アタシのことだけ感じて生きていけばいいんだわ。」
額から頬、頬から唇、そして顎から鎖骨へ。
彼女の掌が触れるか触れないかの微妙な距離を滑っていく。

「そうしたらアタシがずっと・・・傍にいて兄さんを守ってあげるから。」
唇に戻り、中をこじ開けようとする指先。
その動きに呼応するように思わず口を開いてしまう。
滑り込む人差し指。

「だから安心してアタシの傍で、いつもの・・・いつものアタシの大好きな兄さんでいて。」
ゆっくりと確かめるように歯列がなぞられ、唇を親指が擦る。

退廃的な快楽に身を流されるように、俺は目を閉じた。


もっと・・・

もっと・・・。

俺・・・の・・・・・・。



「ね?」





「・・・・・・敦賀さん。」






Fin
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コメント

  • 2017/08/12 (Sat)
    00:45
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