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似非紳士vs手練れ男 (1)

「あの・・・貴島さん、ですよね?」

学校帰りに自転車を飛ばしていたキョーコは、甘味処の前でショーウインドウを覗き込む男をみつけて、慌てて自転車を停めた。

「あれ?京子ちゃん、こんなところで会えるなんて・・・まるで運命だね。」
本人であることを確認したキョーコが、自転車から降り丁寧におじぎをすると、貴島はにやりと笑って答えた。

「いや運命というより単なる偶然だと思いますが・・・?
それより、人気俳優さんがこんなところに立ってたら目立っちゃいますよ。一体どうしたんですか?」
あっさりスルーするキョーコ。

「ああ、じつはここの抹茶クリームあんみつが絶品だって聞いてね。ちょうど近くでロケがあったから・・・来ちゃった。」
へへへと笑う貴島の子どもっぽい無邪気な表情に、思わずキョーコもつられて微笑んでしまう。

「なあんだ。そうだったんですか。それにしても貴島さん、ほんと甘いものがお好きなんですね。」
「うん。だ~いすき。京子ちゃんも好きでしょ?甘いモノ。美味しいもんね~。・・・いや、お菓子よりキョーコちゃん自身のほうがもっと甘くて美味しいかな。」

(でた、よくわからない冗談・・・。これって貴島さんのお約束なのかしら?)

「へ?わたし甘くないですよ。自転車走らせてたんで汗かいたし・・・。あ!汗かいたから、きっと塩味ですね。むしろ辛いと思います。」
「へえ~、ほんとにそうか、試しになめてみたいな。いい?」
さらりと言ってのける貴島に、キョーコの顔が真っ赤に染まる。

「な、な、な、なに言ってらっしゃるんですかぁ!!!
ほ、ほ、ほら、まままま抹茶クリームあんみつ召し上がるなら、は、は、早くお店へ入らないと。休憩時間なくなっちゃいますよ!」

「あはは~、冗談、冗談。やだなあ、すっごい顔してるよ。女の子なんだから、そんな顔しちゃダメだよ~。
京子ちゃんってほんと何でもすぐ本気にするよね。ま、そういう単純というか、素直なところが君のいいとこだけどさ。」
「なんだかほめられてるんだか、けなされてるんだか、微妙なんですけど。それ。」
「えーー!?俺が女性相手に褒め言葉以外を口にするわけないじゃん。」

(た、たしかに・・・)

いつの間にかキョーコはすっかり貴島のペースに乗せられている。


「それより、よかったらいっしょにどう?大好きって言ってたよね?抹茶と小豆のコラボ。もちろん、ごちそうするから。」
「今、ですか?」
「うん。ちょうど今休憩時間でさ。でも、ほら、ちょっと男一人じゃ入りにくいじゃない?甘味処って。あれ?もしかして急いでた?」
「いえ、今日はこれから事務所待機ですけど・・・。」
勢いに負けて、つい正直に答えてしまう。

「だったら、いいじゃない?ここの抹茶クリームあんみつ、ほんとに絶品らしいんだよ。京都の老舗で長いこと働いてた人がこっちではじめた店らしくてね。ほろ苦い抹茶とたっぷりの黒蜜の絶妙なコンビネーション、口にいれるととろけるくらい滑らかな寒天、甘さ控えめでするりと食べられるこしあん・・・。さらに白玉トッピングするとこれがまた絶品!」

(うわあ・・・聞いてるだけで、よだれがでてきそう)

「貴島さん、その説明、グルメレポーターも真っ青ですね。伺ってるとなんだかワクワクするくらい美味しそうです~。」
「そう?じゃ、すっかり食べたくなっちゃったでしょ?そこでほら、甘味難民の可哀想なイケメン俳優を助けると思って・・・ねっお願いっ!」

そう言って手を合わせると、貴島はそのまま戸惑うキョーコの手をとり、笑顔でさくさくとのれんをくぐっていく。
断るに断りきれず、ついでにちょっと抹茶クリームあんみつへのトキメキもあり、そのままずるずると引き摺られていくキョーコなのだった。



(続く)

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敦賀さんは今頃どこで何してるんでしょう?

ちなみに、この抹茶クリームあんみつ、京都の老舗甘味処「月ヶ瀬」のモノをイメージしております。
ああ、食べたい・・・。
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