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【捧】 限界ラリー (後編)

以前amebaにUPしていた作品の後編となります(今はUPしていません)。
ため息が出るほど艶やかで美しいイラストを描かれる「薄/明/光/線」の吟千代さまがUPされた蓮キョのイラストに触発され、ぐわっと書き上げお捧げしたお話です。



―side K―
「そのままで、充分魅力的だよ。」

子どものようにくしゃりと笑い、敦賀さんの手が伸びる。
大きな掌ががしがしとかき回すように私の頭を撫で、それはそれは楽しそうな笑顔が私に向けられた。

どうしたらいいか……わからない。
涙が出そうに、なる。
それでも逃れることなどできるはずもなく、触れられる感触に身を委ね、震えるような幸せと締め付けるような苦しさを噛み締め続けた。

知っていますか。
敦賀さん。
貴方が微笑みかけてくれるだけで、
どれだけ私が幸せな気持ちになれるか。

けれど同時に
どれだけ切なく、苦しくなるか。

貴方は……知るはずもない。

ただの後輩面をして、私が裏でどんなに貴方を求めているかを。
どれほど勝手な想いにかられているかを。

抑えても、抑えても。

止まらない。
止められない。
ただ加速し続けるこの気持ちを、どうしたらいいかわからない。

わけもなく握られたままの手を振り払うことすらできず、私はその場に立ち尽くしていた。

こんなのもう……限界。
もう限界だと、心の奥で叫びながら。



―side R―
見上げてくる瞳が、あまりに悲しげでいったいどんな失言をしたのかと怖くなる。
それでも君を離したくなくて
掴んだ手をもう一度ギュッと握り締めた。

振り払うこともせず。
逃げ出すわけでもなく。
そのままでいてくれることに、少しほっとする。

こうやって、試すように君の気持ちを伺ってばかりいる自分を少し恥じながら。
ねえ。
そうやって少しでも受け入れる様子を見せてくれるのは、俺が先輩、だから?
尊敬する先輩、と君は俺を呼ぶけれど。
本当に……それだけ?

いくら、笑顔を向けてくれても
いくら、言葉をかけてくれても
いくら、触れさせてくれても

それが、ただの先輩後輩のやりとりに過ぎないというのなら。
こんなのもう……限界だ。

俺が責任を持って君の笑顔を守るから。
そのためにはどんなことも厭わないと、そう約束するから。

誰よりも近く
誰よりも長い時間を。
君の隣で過ごさせて。

ただの先輩ではなく
もっと特別な存在にさせて。


いつまでも手を離さない俺を、君が少し不安そうに見上げてくる。
その瞳に、俺は俺に出来る最上の笑みを向けた。

俺のまやかしの笑顔を、本当の笑顔にできるのは君だけ。
この世に君しか、いない。

だから。
だから……。


君の力で、俺に本当の笑顔を頂戴。
本当の幸せを、頂戴。




―side R&K―
並べられた心のグラス。
想いでいっぱいになったそれは、どちらも表面張力ぎりぎりの状態。
あと一滴がすべての均衡をぶち壊す。

もう一度名前を呼ばれたら
もう一度微笑まれたら
もう一度触れたら

溢れ出た想いは、きっともう止まらない。

―――それでも君は
   ―――それでも貴方は

変わらぬ笑顔をくれますか?
差し伸べた手を握り返してくれますか?

そばにいつづけて……くれますか?


*


問いかけるような瞳に差した僅かな色に、蓮は思わず大きく息を呑んだ。
心余って飛び出した両腕が、目の前の痩躯をぐいと引き寄せる。

痛いほど強いその力に。
キョーコの両瞳から、閉じ込めていた想いのすべてが雫となって堰を切ったように溢れだした。


――――君の温もりが、俺のすべてを支配する
   ――――貴方の温もりが、私のすべてを支配する



「最上さん……」
「敦賀さん……」



そして、ふたりは互いの名をそっと唇にのせた。






Fin
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