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【捧】 限界ラリー (前編)

仕事が立て込んでいてコトノハが進まず、古い作品の再公開が続いていて申し訳ありません!
こちらも以前amebaに瞬間UPした作品となります。
ため息が出るほど艶やかで美しいイラストを描かれる「薄/明/光/線」の吟千代さまがUPされた蓮キョのイラストに触発され、ぐわっと書き上げお捧げしたお話です。
UPされたイラストは本当に素晴らしく美麗で、たくさんの方がそれはもう素敵なお話を捧げていらっしゃいました。
そんな素敵話に比べると、私のお話なんてもう稚拙すぎて恥ずかしくて…(ならUPするなって感じですが)。
とはいえ、自分ではなかなか気に入っているお話なので、お時間よろしければ読んでいただけたら嬉しいです^^



欲しいものは?と問われれば、答えはたったひとつ

―――貴方の
―――君の

その笑顔。
それがもし……

―――私だけのものになるなら
―――俺だけのものになるなら

すべてを引き換えにしても、きっと後悔しない



―side R―
「敦賀さんの笑顔って、本当に春の陽だまりそのものですよね。」
ふと君が言った。
「温かくて、やさしくて。」
じっと俺を見つめ少し間を置き、ほわりと微笑んで見せる。
「私にもそんな笑顔ができたらいいのに、っていつも思うんです。」

君の笑顔こそ、俺にとっては何よりも温かい春の日差しそのものなのに。
世間が言う“春の陽だまりのような”俺の笑顔なんて、所詮は演技。
単なるまやかしに過ぎないんだよ。

見つめ返しながら、そう思う。
まっすぐな視線は、だからこそ少し居心地が悪くて。
でも、俺はその瞳から目を逸らすことができない。
―――できるはずが、ない。

……いや、まて。そうか。
君が知っている俺の笑顔。
それなら、たしかに君が言う通りかもしれない。
だって、ほかならぬ君へ向ける顔、だから。
それだけは、まやかしじゃない。
演技でもない。
本当の俺の笑顔、だ。
だとしたら……。

俺が君の笑顔を春の日差しだと感じるように
君も俺の笑顔を春の陽だまりだと感じたというのなら……。
同じ気持ち、を感じてくれているのなら。

―――もしもそうなら、それは……。

「ありがとう。君にそう言ってもらえると嬉しいよ。」
祈るような想いで、俺はもう一度微笑んだ。

君だけに捧げる心からの微笑みを。



―side K―
「最上さん。」

そう言って微笑みかけられるたび、胸が張り裂けそうになる。
温かくて、やさしくて、知らず知らず勇気と希望を与えてくれるその笑顔。
でもそれは、同時にこんなにも苦しい思いを私に与える。

だって、その笑顔はそのまま万人に向けられるものだから。
私だけのものでは……ないから。

覚えのある香りがふわりと漂い、ハッとした瞬間に降ってきた声。
「久しぶり。」
慌てて振り向けば、神々しいほどの笑顔に不意打ちされた。
突然のことにとっさに繕うこともできず、やるせない想いがギリギリのヴェールを纏い口をつく。

「敦賀さんの笑顔って、本当に春の陽だまり、みたいですよね。」
……一歩外れれば、冬に戻ったかのような鋭い寒さを感じさせる。

「温かくて、やさしくて。」
……切なくて、苦しい。

「私にもそんな笑顔ができたらいいのにっていつも思うんです。」
ううん。
そうじゃない。
本当は……

『あなたのその笑顔がほしい』
いつだってその笑顔を向ける相手は私であってほしい。
私だけであってほしい。

そんな我儘を、心の片隅でひたすらに願ってる。
……貴方はきっと、私がそんな邪な想いを抱えているなんて、夢にも思っていないだろうけれど。

「ありがとう。君にそう言ってもらえると嬉しいよ。」
やるせなさに追い打ちをかける、穏やかな笑顔。
やさしすぎる敦賀さんの言葉は、遠すぎる夢のように掴みどころがなく。
とどまることなく耳朶を滑り落ちていく。
だから必死に気持ちを押し隠し、私は曖昧な微笑みを返した。



―side R&K―
本当は、笑顔だけじゃない。

視線も
言葉も
仕草も
気配も

―――貴方が
―――君が

放つ何もかもをひとり占めしたい。

喜びも
悲しみも
怒りさえ、その矛先は自分だけでありたい。
何もかも、全部。

ただ、ただ、そう願う。



―side R―
ふわりと微笑んだその顔に、釘づけになる。

それは、俺の知る彼女の笑顔とは少し違う。
妙に大人びた……微笑み。

君には、いつだって雲ひとつない空のような晴れ渡った笑顔を浮かべていてほしいのに。
逸らすことなく見つめ返してくる瞳に、ふと浮かぶ愁いの色が妙に気になる。

いつのまに君はそんな微笑みを浮かべるようになったんだろう。
君に何が起きたというのだろう。

まさか、誰かが……君に?
いや、君が……誰かに?

思った途端心の奥がキシリと痛むのが分かった。
感情を表に出さないよう必死にこらえれば、気付かぬうちに握り締めていた拳の中で、切りそろえた爪が掌に鈍く突き刺さっていた。
その痛みを噛みしめながら、俺は必死に自分を立て直す。

君に向ける笑顔は崩せない。
君が微笑みかけてくれる限り。

「そう……ですか?嬉しいです。」
見ればいつのまにか、君はいつもどおりの晴れやかな笑顔を浮かべていて。
さっきのアレは幻だったのかと、疑ってしまう。

それでも心の奥に芽吹いた痛みは鎮まることなく。
己の本心をどんどん暴き立てていく。

君がいつも笑顔でいられるなら、それが俺の手によるものでなくてもよいと。
そう思い続けていたのはすべてまやかしだった、と。

そう――――。

俺は、君の笑顔を誰よりも近い場所からみていたい。
いつだって、俺こそが、君の笑顔の源でありたい。

君を笑顔にするのを、ほかのやつになんかまかせられないし。
君が笑顔になるとき、ほかのやつに間近にいさせたくもない。


―――絶対に。


そんな気持ちをまさか丸ごと吐き出すこともできず、ただ黙って君に微笑んだ。
つられるように再び微笑む君の頭にそっと手を伸ばし、くしゃりと髪をかき回す。
指先に巻き付く髪の一本一本までもが愛しくて、じっとその感触を確かめ続けた。

「最上さんの笑顔は……。そのままで、充分魅力的だよ。俺は、その笑顔がすごく、すごく、好きだよ。」


なんとかそれだけを口にして。





(続く)
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