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もももななな

コトノハの続きをいろいろ構想しつつ(Rな文章に苦心しているのもありますが、今後の展開を予定よりがっつり書きこもうかなと思い)、気分転換にただいまAmeba時代の作品でこちらに載せていなかったもの、Amebaから削除してしまったお話の掲載作業を行っています。ちなみに、こちらも以前ちらりとAmebaに掲載していたお話しです。(現在はUPされていません)
当時勢いだけで書いた、「読んだらすぐ忘れてー!」っていうおバカ話なのですが、読み返して「ま、いっか」とか思っちゃったので、改めてこちらにUPさせていただきました。(UPにあたり、多少手直ししています。)

しかし、蓮さんがヘンです。ものすごくヘンです。蓮さん好きな方にはおすすめしないくらいヘンです。
どうか気楽に読み流して頂ければ幸いです。




―――――敦賀蓮は、最上キョーコに恋している。


いや、恋とか愛とか好きとか、そんなありきたりな言葉ではとても説明しきれないほど、その想いは強い。
仕事をしているときを除けは、毎日彼女のことばかり考えて、夜眠れば彼女の夢を見て、会えば彼女の一挙一動に振り回されて……そんな自分の情けなさに内心のたうちまわってしまうほどだ。

しかし今のところ蓮はキョーコに対しどうすることもできずにいる。
というのも、どうひいき目に見てもキョーコが蓮に特別な感情など抱いていないのは明らかだからだ。
もちろん蓮とてなんの努力もしなかったわけではない。
だがすべて見事に不発に終わり完膚なまでに叩きのめされ、結果今の蓮は、どんなに毎晩のたうちまわろうが、下手に動いてせっかくここまで近づいた仲の良い先輩後輩の関係を壊すくらいなら何もしないほうがよっぽどましじゃないかとさえ思いはじめている。

とはいえ、一方でふくれあがった気持ちを抑えることもできない。
だから最近はマネージャーである社にウンザリ顔でこう言われることが増えた。
「蓮、その顔なんとかしろ。気持がダダ漏れだから。外にいるときはちゃんと“敦賀蓮”の顔になれ。」
ちょっと偶然キョーコに会っただけでこの調子。
事情を知っている社長にも呆れられている。
最近はどうやら奏江や千織にまで感づかれているようだ。

まあ近しい人から見れば、こちらの気持ちなんてそりゃもうバレバレなんだろうなと思うのだが、生憎ラブミー部のラスボスといわれるほど鈍感かつ曲解力満点のキョーコは、蓮の想いにまったく気づいていない。気づく気配すらない。

それがよいのか悪いのか、正直蓮は複雑でならない。
時折投げやりな気持ちで「本人ににばれたらどうなるんだろう」と思ったりする。
「いっそばれてしまえば楽なのに」などと思ったりもする。

そんな逡巡を繰り返した結果……何かきっかけさえあれば、いつなにをやらかしてもおかしくないくらいの精神状態に陥りかけた。それが今の蓮なのだ。




その日、蓮は毎度のごとく数十分の空き時間も惜しんで、ラブミー部室を訪れた。
キョーコに会うためなら、休憩時間を削るくらいどうってことはない。
いや、正直仮眠をとるよりキョーコの笑顔をみるほうが、蓮にとってはずっとずっと気力体力充電効果がある。
社もそれをよくわかっているから、なんとかスケジュールを調整しようとがんばってくれる。
今日もそうして得た時間のひとつだった。

そんなわけで貴重な時間の合間を縫って蓮がラブミー部室にたどり着いたとき、そこにはすでにターゲットというべきキョーコと敬愛すべき彼のマネージャー社が揃っていた。
社は蓮にとってマネージャーであると同時に兄のような存在であり、蓮の気持ちを理解し応援してくれる唯一の人間でもある。
だから、たとえ想い人キョーコと彼が密室で2人きりになっていようと、心配することはなにもない……と思っていた。
むしろ、蓮が到着するまでキョーコをうまいことひきとめてくれる大事なストッパー役を果たしてくれている……と思っていた。
その瞬間までは……。


「やあ、最上さん!こんにち……は?」

キョーコに会える喜びで、満面の笑顔を湛え扉を開けた蓮の目に映ったのは、ありえないほど顔を近づけた2人。
しかも社がキョーコの目元にそっと手を添えているではないか。
それは、まるで今からキスしようとでもいうかのような……。

「も、も、も……!!!!!な、な、な、な……!!!!」

抱かれたい男NO.1、芸能界一イイ男などという天下一品の異名を持つ男とはとても思えない、壊れたレコードのような口ぶりで「も」と「な」を連発する蓮。

(最上さんになんてことしてるんですか!!!!)
どうやらそう言おうとしたらしい。

(俺だって、まださわったことがないのに!これからだっていうのに!)
いや、そもそもキョーコと蓮はそういう仲ではないのだが、今の蓮にはとてもそんな冷静な判断をつけられる心の余裕はない。

ついでに言うと「最上さんになんてことを!」ではなく「キョーコになんてことを!」さらに言うと「俺のキョーコになんてことを!」と叫び出したいくらいにまで頭が沸騰しているのだが……残念ながらそんな言い方を許される関係でもまったくない。

そんなこんなで扉の前に立ったまま、かくかくと震え立ち尽くす蓮を、きょとんとした顔で社とキョーコが振り返った。

「あ、敦賀さん。こんにちは。」
「おお、蓮、来たか。」

2人の顔には反省の色も、羞恥の色もみえない。バツが悪そうでもないし、慌てて離れるでもない。
要するに、“まったく動じていない”。
それがまた蓮にとっては衝撃だった。

(いつの間にこの2人……。)

ちなみに普段の蓮は決してマイナス思考ではない。
けれど、キョーコがからむと話が変わる。

そもそも、抱かれたい男NO.1、芸能界一のイイ男などといわれ、自分でもそれなりに「モテる」ことに自信を持っていた……その自信を思いっきり踏みにじってくれたのがキョーコだった。
どんな女性でも蓮を見れば好きになる……というわけではさすがになかったが、たとえ演技であろうと、好意の色をちらりとでも見せて、相手がその気にならなかったことはほぼない。
『共演者キラー』などという異名が自分にあることもよく知っている。
だから、どんな相手にも演技中以外には好意のかけらもみせないようにしてきた。そういう雰囲気を作られそうになっても陽だまりのようなと称されるさわやかな笑顔でさらりとすりぬけてきた。

……が、キョーコにはそんなバリアーを張った覚えはない。
にもかかわらず、すべて見事にかわされた。
いくらラブミー部でも、さすがにそれはひどいと思ってしまうほど、それは見事なスルーぶりだった。
思い返せば、恋を自覚した当初こそ今の関係を続けるためどうにか気持ちを隠そうとしてきた蓮だが、途中でそんな必要まったくないことに気付いた。

どれだけ、蓮の恋心がダダ漏れになろうとも。
誰が見ても誤解のしようがないほどの直球を投げつけても。

キョーコはそれも全部、どう受け取ったらそうなるんだ?と10人が10人首をかしげるような曲解ぶりで、かわしきる。
自分の気持ちが「ばれてしまえばいいのに」とか「ばれたらどうなるだろう」と思う蓮だが、正直そんな心配は“するだけムダ”なのだ。

ちなみに演技でする以上の迫りっぷりを試してみたことがないわけでもない。
だが、まったく伝わらない。

「敦賀さん、今度はプレイボーイの役をなさるんですか?わかりました!私、がんばってお相手させていただきますね!」
といった具合に妙な方向に熱い闘志をたぎらせてしまわれるのがオチだ。
そのかわしぶりたるや……愛の伝道師といわれる社長ですら「ありゃ無理だ」とさじを投げたほどなのだから。

とにかくキョーコには何をしてもムダ、蓮もそれから周囲の人間も皆そう思っていた。


とはいうものの、キョーコがそんな調子なのもすべて、彼女自身が日々口にしているように「恋とか愛とかそんな愚かな真似、二度としません!」という頑ななまでの決意からくるものなのだろうと蓮は思っていた。
だから、彼女の心が溶けてくるまで、そばでじっと待つつもりでいた。
それくらいの気持ちでないとキョーコの相手は務まらないと考えていた。

……が、今目の前にしているこの状況はどうだ。
2人の間に流れる甘い雰囲気はいったいどういうわけだ。
油断大敵とはこのことだったのか?

可愛さ余って憎さ百倍(対社限定)という言葉が頭にちらつき、ぷるぷると蓮の身体が震えはじめた……とき、社がキョーコに声をかけた。

「あ、とれたよ。キョーコちゃん。これでもう痛くないでしょ?」
「わっ!ほんとだ!もう全然痛くないです。ありがとうございます。社さん。」


……?

……ん?

なんとなく自分の勘違いを悟った蓮。


一方社は、そのときようやく扉の前で小刻みに震える蓮に気がついた。
その瞬間、社の顔からサァーっと音を立てて血の気が引いていく。

「え、え、えっと。蓮?」
キョロキョロと目線が泳ぐ社。
「あ、あのな。今、キョーコちゃんの目に睫毛が入ってとらなくなっちゃったみたいでさ。」
少々挙動不審になりかけている社の言葉を(社にとっては)ありがたく引き取り、キョーコがにっこりと笑う。
「そうなんです。自分じゃどうしてもとれなくて……。社さんにお願いして取っていただいたんですよ。でも睫毛がちょっと入っただけでこんなに痛くなるなんてびっくりです。」
潤んだ瞳をぱちぱちとさせながら、上目遣いに蓮を見つめ小首をかしげてみせるキョーコ。

(ああ、この角度のこの目線に俺はとびきり弱いんだ……。)
知らず知らず口許に手が動く。

「敦賀さんも気をつけて下さいね。」
そう言ってキョーコはさらにキューティーハニースマイルを上乗せする。

(ああもう、どうしてくれよう。この笑顔……。)
ドクドクと早まっていく鼓動に胸を押さえながら、ゆっくり蓮はキョーコに近づいた。
膝を曲げて顔を同じ高さまで下げると、吐息がかかるほど間近な位置からそっとキョーコに話しかける。

「こんど睫毛が目に入ったら俺に言ってね。社さんは目が悪いから、きっと俺のほうがすぐとってあげられるよ。」
言いながら、右手の人差し指を伸ばし、キョーコの目の下からこめかみにかけてそっとなぞる。

もちろん、女性なら誰でも腰が砕けてしまいそうなほど神々しい微笑みとともに。
そのままキスしてしまいそうな勢いで。

(れ、れ、れ、れ~ん!!!お前、またいったいなにをやってるんだあああ!!!)
そんな社の心の叫びなど、もはや蓮には聞こえない。


……が。


「やだ。敦賀さん。そんなに都合よくご一緒してるときに睫毛が目に入るなんて、きっともうないと思いますよ。」
するりと蓮の傍らから抜け出し、キョーコが無邪気な笑顔であっさり返した。

「それに……敦賀さんったら。私にまでそんな女性ファン向けのサービス笑顔する必要なんてないですよ。いつも、そんな風に“敦賀蓮”を演じないで、せめて後輩の私の前でくらいどうぞお気楽になさってくださいね。」
にっこりと、それはある意味悪魔の微笑み。
蓮の心を良くも悪くも木っ端みじんに打ち砕く。


キョーコはやはり難攻不落。
こうして蓮の投げた球は、今日も悲しく場外へと大きくそれていくのだった……。






Fin
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コメント

  • 2016/03/05 (Sat)
    13:05
    お気の毒さま

    わはははは!
    流石キョーコちゃんとしか言いようのないスルー技能。
    こちらの蓮さんは、タラシ、コマシの自覚ありな方だったのですね〜。(当然か…。)
    そんなお方が、木っ端微塵とは。
    まあ、本当にお気の毒さまです〜ψ(`∇´)ψ

    かばぷー #- | URL | 編集
  • 2016/03/05 (Sat)
    17:42
    ふふふ♪

    蓮様の動揺ぶりナイスです!
    アメーバで掲載取り下げてたんですね。
    勿体無い♪
    そしてタイトルが良い味出してます( *´艸`)

    風月 #- | URL | 編集
  • 2016/03/09 (Wed)
    11:27
    Re: お気の毒さま

    > こちらの蓮さんは、タラシ、コマシの自覚あり

    そうそう。でもキョーコちゃんには一切通用しないことも自覚している、大変可哀想な蓮さんですw
    そしてそんなへたれんさんを、きっとやっしーは日々同情半分、哀れみ半分でにやにやと眺めてるんでしょうね~。
    (今回は危うく死にかけてたけどw)

    ちなぞ #- | URL | 編集
  • 2016/03/09 (Wed)
    11:33
    Re: ふふふ♪

    風月さま

    おお、ナイスありがとうございます!
    かなり前に書いたお話なのですが、楽しんでいただけたなら嬉しいです♪
    自分でも発掘してびっくりw(amebaからおろしてたの忘れてました)

    タイトル、一瞬「なに?」って感じだったでしょうか。
    正直これ以外浮かばなかったという ←

    ちなぞ #- | URL | 編集

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