心理テストなんて誰が考えた 3

蓮が心理テストをはじめてからわずか数分。

しかし、社の頭の中ではすでに数時間以上分の緊張が続いている。


(れぇ~ん、あんまり夢中になるなよ~。俺は、結果をみたときのお前が今から怖くて怖くてたまらないよぉ~。)

なんだかんだといいながら、蓮がすっかり心理テストにのめりこんでいる様子に、社は手元に胃薬をしっかりと握り締めたまま固まっていた。 ←本当はさっさと飲みたいが食後服薬なので飲めない


「さて半分終わったし、残りもさっさと片付けますね。早く結果を見たいですし。」


(やっぱり、続けるのね・・・)



質問6 “好きな人とデートの経験は?”。


1)何度も
2)1~2度のみ
3)友人を交えてなら
4)一度もない


「社さん、俺さっきから思っていたんですけど、この心理テストのテーマは、『好きな人があなたをどう思ってるのか』のはずですよね。

ということは付き合っていない2人、が大前提なんじゃないですか?

ふつう、付き合ってないのにデートとか言いませんよね。なのに、こんな質問があるっておかしくないですか。」


(本気で文句いうなって。しかもなんか演説ぶってるし。

いや、確かに正論だけどさ。たかが、雑誌に載ってる心理テストじゃないか。そんな細かいこと気にしてどうする?)


「いや・・・まってください。付き合ってないことが前提でデートって表現ってことは・・・最上さんが、うちに食事を作りに来てくれたり、演技の相談に来たりするのも・・・もしかして、あれもデートって言っていいってことじゃないですかね。」


(いや、ちがうだろ。ソレ。)

少々呆れ顔の社。


「あれは・・・単なるラブミー部への依頼、ってキョーコちゃんは受け取ってるんじゃ・・・ない・・・か・・・な?たぶん。そこに、いわゆるデートに必要な個人的感情はまったくないっていうか・・・」


思い切って反論しかけるが、先ほどの魔王オーラを思い出し、だんだん声が小さくなる。


(聞くまでもない。あれはデートじゃない!・・・なんてはっきりは言いたくてもいえないよぉ、この空気。
少なくともな、蓮。キョーコちゃんはあれをデートだなんてこれっぽっちも思ってないと思うよ。これっぽっちもな。
お前、あれをデートとかいって喜んでるようじゃ、いつまでたっても恋の進展なんてみこめないっつーの。
まず、相手を考えろ!「デートしましょう」ってはっきり誘ったって曲解するラスボスなんだぞぉ~~!)

そう声に出して言えたらどんなにすっきりするだろう。


小さく息を吐いた社の表情を読んだのか、蓮は黙って4を選んだ。
室内の空気はますます重い。



質問7 “好きな人はあなたのことをなんて呼ぶ?”



1)下の名前で
2)あだ名で
3)苗字にさん付けで
4)呼ばれた経験がほとんどない


『最上さんが俺を“蓮”って呼ぶ・・・』
キューティーハニースマイルを浮かべ、上目遣いで「れんっ」と呼ぶキョーコが頭に浮かび、蓮の顔が真っ赤に染まる。


(うわっ、蓮の顔っ。どーせ、キョーコちゃんに可愛く名前で呼ばれることとか想像してるんだろ。あのとき [ ←キョーコがクオンを演じていたとき] 呼んでもらおうとして思いっきり失敗してたもんな・・・。名前を呼ばれる、しかも想像程度でこれか。まったく恋愛初心者は・・・。)


一方蓮の頭は過去にさかのぼっていた。


『俺だって、コーンってあだ名で呼ばれてた時期もあったんだ・・・。』 ←コーンはあだ名か?


(あれ?急に遠い目になった)


『あの頃は・・・、“ショーくん”とかいう特別な王子様<ギラリ>はいたけれど、俺のことだって妖精の王子様と思ってくれてたんだよなあ。

そもそもよく考えてみれば、あの子の好きな三大要素、お姫様・お嬢様・妖精さんの1つにカテゴライズする妖精の王子様って、けっこういいポジションだったんじゃないか?

今もあんなに大切に思ってくれてるくらいだし、ことによったら、“特別な王子様”を超えられるくらいの・・・。
それが今や単なる“尊敬する先輩”。それだって、決して悪いわけじゃない。でも、明らかに好きレベルは下がっているし、だいたい、尊にも敬にもどこにも“心”が入ってないじゃないか!そういえば、敬愛する先輩っていうのもあったな。敬は不要だけど。』


はあああああ・・・・・・。
蓮の口から大きなため息がこぼれる。


『そして呼び方は、苗字にさんづけ。いや苗字でもないのか。敦賀は芸名なんだから。』


赤くなったり、眉をしかめたり、殺気を出したり、微笑んだかと思えばがっくりして・・・ふだんの蓮からは想像もつかない百面相ぶりに、社は驚きを隠せない。


(蓮っ!蓮っ!だいじょうぶか?今、お前の頭の中で何が起きてるんだ?しかも最後、むちゃくちゃうつろな目になってたぞ。もしかしてそろそろ気づいたのか?結果のやばさに・・・。)



質問8 “あなたは好きな人をなんて呼んでいる?”



1)下の名前で
2)あだ名で
3)苗字にさん付けで
4)名前を知らない


「1・・なんて、いつになるんですかね・・・。」


(やばい。蓮が本気で遠い目をしはじめた。意識が完全にどこかへ飛んでいる。壊れるな!蓮!お前が自分ではじめたことだろ。こうなったら最後までやりぬけ!そして結果を見て思い切り撃沈しろっ!)
もはや社はやけくそになっている。


「社さん・・・。俺、なんだかすごくへこんできました・・・。」
(いまさら?いまさらなのか?)



質問9 “あなたは好きな人の事をどれくらい知っている?”



1)結構知っていると思う
2)なんとなくわかってきたと思う
3)顔と名前と印象ぐらいしか知らない
4)顔か名前のいずれかしか知らない


蓮がさらりと1を選ぶ。
先ほどの回想から、幼い頃のキョーコとの出来事を思い出し、ついそれを選んだのだが、そんな裏の事情など社は当然知らない。


(そうだよな・・・。お前、キョーコちゃんのことになると、ストーカー並みの情報収集力と行動力発揮することあるもんな。趣味嗜好もばっちり把握してるし・・・。

あのプリンセス・ローズのときはほんと驚いたよ。まさかあそこまでやるとはね。
きっと俺の知らないとこでもいろいろやってるんだろ?恋愛曲解思考VS抱かれたい男NO.1の仁義なき戦い。

しかし、あれだけがんばってて、しかも見る人が見たらダダ漏れ状態だっていうのに、ぜーんぜん相手にされてないってのも、いくら相手が相手とはいえ、ほんと情けないよな・・・。)


まさか、ここにきて社に深く深く同情されているとも知らず、蓮は最後の質問にとりかかった。




質問10 “あなたから食事に誘ったら、好きな人は応じてくれると思う?”

1)きっと喜んできてくれるはず
2)予定がなければ来てくれると思う
3)二人きりだと難しいかも
4)多分来てくれないだろう


最後の答えを眺めながら、蓮は考える。

『ここは1を選びたい。選んでもいいんじゃないかという気持ちもある。
しかし冷静に現実を考えれば、最上さんのことだ。理由もなく食事に誘えば、喜ぶよりまず“誤解を招く”とか“誘われる理由がない”とかいって恐縮するに違いない。』


「2、ですかね。」

情けない目つきで顔を上げた蓮に、アルカイックスマイルを浮かべゆっくりとうなずく社なのであった。 


(蓮、よく最後までがんばったな。もう、十分じゃないか。結果はお前がぼんやり想像しているとおりだから。悪いことはいわない。とどめをさされるようなこと、しなくてもいいじゃないか。
・・・でも、完璧主義のお前のことだ。当然見るよな。

結果を見たとき出てくるのは、怒りか、へこみか、瞑想か・・・。この際、大魔王以外なら何でも受け入れてやるよ、俺は・・・。)


担当マネージャーとして、お前の最後は俺が見届けてやる・・・と、もはや悟りの境地に達した感のある社。
一時の激高ぶりはどこへやら、すっかり凹凹モードの蓮。



「じゃあ、結果・・・見ますね」。




(つづく)

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キョーコちゃんは今どこに?


次でようやく終わります(心理テスト、長すぎ・・・)。
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