スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

So long

風邪を引いて体力が落ちているのか甘いものがほしくなりました。
というわけで、成立後の甘々なんぞをわたしなりに…。
深夜テンションで書いたので、ちょっと敦賀さんぽくないかもしれませんがご容赦を!



「おかえり…な、さい。久しぶりのお休みだから…明日はゆっくり…寝ていて、ください……ね。」

明け方もぞもぞとベッドに潜り込んだ俺に、彼女はぼやけた口調でそう囁いた。
「まだ起きてたの?」
そう言った俺には答えず、ころりと身体を寄せ俺の足に自分の足を擦りよせる。
シャワーを浴びたくらいではまだ冷たさの抜けない裸の足先に。

冷たいだろう?と言う前に
「冷たくって気持ちいい。」
小さく呟きながら胸もとに頭を埋めたと思ったら、彼女はあっという間にすぅすぅと寝息を立てていた。
(もしかして寝ぼけてる?)
そう思ったほど、あっという間の出来事。
けれどあまりにも疲れ切っていて眠たくて、それ以上に珍しく素直に腕の中に転がり込んできた彼女が愛しくて、栗色の頭に顔を埋めて俺もすぐにその後を追った。
彼女が放つ温もりの心地よさに身を揺蕩えながら。


*


カタンッ

小さな響きにハッと目を覚ます。
慌ててベッドから飛び出し、起き抜けの姿のまま玄関に急いだ。
案の定見えたのは今にも出ていこうとする小さな後ろ姿。
黙ってこっそりいくなんて、そんなのだめだよ。

「キョーコ!」
呼びかけた俺に彼女は開きかけた扉を閉めなおす。
「寝ててって言ったのに。」
少し口を尖らせて振り返る彼女。
「覚えてたの?」
聞き返した俺には、ふふっと笑って答えずに
「じゃあ、蓮さん。行ってきます。」
小首を傾げて上目遣いにそう言った。
見送られるのもいいけれどたまには見送るのもいいな、そんな風に思える微笑みで。

「待って。」
ドアノブに手を掛けた彼女を慌ててもう一度呼び止める。
え?と見つめるくりっとした瞳は俺だけをまっすぐに映していて、それだけでなんだか幸せな気持ちが沸いてきた。

「今日は何時に終わる?」
「えっと・・・。今日はロケ1本で15時あがりの予定だから、16時すぎには帰れる…はず?」
首を傾げながら考える彼女を、隙アリとばかりに片腕で引き寄せる。
「わかった。じゃあこれは・・・。」


「9時の分、10時の分、11時の分・・・。」
唱えるように言いながら、つむじに額に瞼に頬に鼻の頭に、次々とキスを落としていく。
そのたび、「きゃっ」とか「ひぅっ」とか小さく叫び声を上げながら身を捩らせて逃げ出そうとする彼女が可愛くてたまらない。
「それからこれは15時。おやつの時間だね。」
最後に柔らかい唇を啄んだ。
「ん。甘い。」
頷いた俺に、彼女は「もうっ!」としかめつらをしてみせた。

「口紅なら落ちてないから大丈夫。」
言われそうな文句は先に打ち消しておこう。
ま、落ちていないといえばウソなんだけど。
それくらい、いいよね。
ちょっとした虫よけにもなるし。
・・・たぶん。

「そういう問題じゃな・・・いけない!時間。それじゃほんとに行ってきますね。・・・あ。」
なに?と顔を寄せたら、
「寝ぐせ。」
くすっと笑いながら背伸びをして両手を俺に伸ばしてきた。
素直に下げた頭に、彼女の指先がふっと触れる。
さらさらと梳かれる感触が心地いい。

「うん。直った。」
納得したような声がして、もうおしまい?と顔を上げた瞬間。
両手がすっと首に回され、強く頭を引き寄せられた。
そして、不意打ちのキス。

ドクンッ

ただ触れるだけのキスなのに、突然のことに身体が一気に硬直し、声ひとつ出ない。
それなのに
「じゃあ、行ってきます。」
そんな俺を尻目に彼女はあっさりそう言うと、扉を開けて瞬く間に出ていってしまった。
後に残されたのは、パジャマ姿のまま顔を真っ赤にして玄関に立ちすくむ俺。
じわじわと後から沸いてきた実感に緩む口もとを抑えきれず、思わずその場に座り込んだ。

(・・・やられた。)

あの一瞬をもう一度辿りたくて、しゃがんだままそっと唇に指をあてる。
けれどそんなことをしても、さっきの感覚はもううっすらとしか戻ってこない。
それでもどうにか思い出したくて、何度となく指をあてた。
だって、彼女が自分からあんなことをするなんて初めてだったのだから。
いや、もしかしたらあれが最初で最後かもしれない。

そう思うと無性に惜しい気がして、必死に記憶を追いかけた。




* * * * *




(きゃあーーーっ!!!ど、どうしよう!)

ぱたんとドアが閉じた途端、思わずその場でしゃがみこんだ。
自分で自分のしたことが信じられない。
仕返し!と思った勢いでついやってしまったけれど、こうして思い出すだけで恥ずかしくて照れくさくて悶え死にそうになる。
だって、自分からあんなこと。破廉恥すぎる!

―――コイビトドウシナンダカラ、アタリマエデショ

悪魔の囁きのような気持ちが、心のどこかで蠢いたけれど。
そんなセリフに同意できるはずもなく、邪な思いを押し潰すように両手で頬をペチペチ叩いた。
(あーっもうっ。)
それでも、カッカと燃える頬の熱さはしばらくおさまりそうにない。
(でも・・・。)
思い出してついにやりとした。
(蓮さんのあんな顔。)
きっと私しか知らない。
そう思ったらなんだかひどく嬉しくて、エレベーターのドアに映る自分の顔に向かって素振りパンチを繰り出した。


♪♪~~♪♪♪~~~♪♪~~♪♪♪~~~

「もしもし?はい、キョーコです。・・・・・・え、雪?」




* * * * *




「こんなところで何をしてるんですか!?」
突然頭上から降ってきた声に驚いて顔を上げたら、キョーコがいた。

(え?どうしたんだ?)

疑問を口にする前に、さらなるお小言が飛んでくる。
「そんな恰好のまま玄関にしゃがみこんでたら、風邪ひいちゃいますっ!」
言われてようやく玄関に座り込んだままだったことに気づいた。
・・・それもパジャマで。

ああ、そのせいか。
吹き込む風がやけに冷たい。

「ほんとにもうっ!」
お小言の主がさらにぶつぶつ言いながら、両手を腰にあて呆れ顔で俺を見下ろしている。
こんな角度から彼女をみるなんてめったにないから、なんだか不思議な感じだ。
うん。こういうのも悪くない。

「仕事はどうしたの?」
隙を見つけてようやく疑問を口にする。
「たった今連絡があって、大雪で交通機関がマヒしちゃってるからってロケが中止になったんです。」
「雪?」
「ええ。・・・って、だからその恰好!」
信じられないっと呟く声がしたと思ったら、ぱさりと音を立てて肩にコートが落ちてきた。

彼女の温もりが残る暖かいコート。
うっすらと匂う柑橘系の澄んだ香りは、今日の彼女そのままで。
思わず顔が綻んだ。

「じゃあ、戻ろうか。」
立ち上がった勢いで、そのまま彼女を抱き上げる。
バランスを崩した彼女が、きゃっ!と声をあげ慌てて俺の首に両手を回した。
それをいいことにくるりと踵を返し、彼女がさらに俺にしがみつくように仕向けてみる。
「蓮さんっ!」
抗議の声は聞こえないふりをして抱きつく彼女の首もとに顔を埋めれば、澄んだ香りが俺を誘う。
いつだって俺を煽ってやまないこの香り。

「ねえってば!蓮さんっ!」
「雪、見たくない?」
「見たい、ですけど。」
「じゃあ、行こう。」


雪景色を一番きれいに眺められそうなベランダは寝室にある。
二人で雪を見に行って。
寒くなったらそのままベッドに飛び込もう。
キレイに塗った口紅は、めちゃめちゃになってしまうかもしれないけれど。
もうちょっと剥げかけているから、いまさら別にかまわないよね。

なんて。
頭の中でそんなことを考えて緩みきった口もとはさすがに見せたくなくて。
気が付かれる前に、キスをした。


積もった雪もあっという間に溶かしてしまうくらい熱いキスを。





fin
スキビ☆ランキング ←参加してみました。よろしくお願いします。
関連記事

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。