心理テストなんて誰が考えた 1

「じつはさっき椹さんに聞いたんだけどな。キョーコちゃん、今日は1日事務所詰めらしいぞ。ちょうどランチ時だし、今頃ラブミー部にいるんじゃないかなぁ。フヒヒヒヒ」

事務所での打ち合わせを終え、次の現場に行くまで1時間ほど空き時間がとれた蓮は、社の言葉を聞くや否や、最後の含み笑いが耳に届く前にラブミー部へ向けて歩き出した。

事務所での打ち合わせを終え、次の現場に行くまで1時間ほど空き時間がとれた蓮は、社の言葉を聞くや否や、最後の含み笑いが耳に届く前にラブミー部へ向けて歩き出した。


別にキョーコと約束しているわけでもなく、それどころか行った先に彼女がいるという確証すらない。
にもかかわらず、社の(あてになるかどうかわからない)言葉を信じ、“もしかしたら”というわずかな期待を胸に、恋する男は長い足をさくさくと前へ進めるのだった。


そんな蓮を背後から必死に追いかけながら、社は考える。


(まったく、蓮も変わったよなあ。キョーコちゃんのこととなったら、脇目も振らず、努力も惜しまず、それどころかなりふりかまわず一直線。
まあ、そのわりに、空振りばっかりだけどな。ぷぷぷ。)


どんなときにも完璧を崩さなかった男がこれまでに繰り出したあり得ないへたれぶりを思い出すたびに、社はついにやにやしてしまう。


(まあでも、こんな風に必死な姿を見せてくれるようになって、正直お兄ちゃんはうれしいよ。やっと心を開いてくれたって感じでさ。

蓮、お前が幸せをつかむまで・・・いつになるか、かな~り不安だけど・・・お兄ちゃんが全力で応援するから、がんばれよぉ~。)


後ろから小さくフレー!フレー!とエールを送る社。
もちろん蓮は気付いていない。

そうこうするうちに、2人はラブミー部室の前にたどりついた。


(ふぅ~、ここでキョーコちゃん補給をしておけば、しばらくは蓮の機嫌も順調。俺の胃も順調。万事順調で完璧だ。よかった、よかった。)


しかし、そんな社の安心は長くは続かなかったのある。




コンコンッ

ノックをすると、蓮はスッとドアを開けた。


「あれ?誰もいない。おかしいな。キョーコちゃん、いないのかあ。」

残念だったなと軽い口調で肩を叩く社に、蓮がチロリと視線を向ける。


(ヒィイイイ!!!!なんか黒いっ!黒いよ、蓮!!ちょっとキョーコちゃんがいなかったくらいで、そんな黒オーラ出すなよ。)


たかが数日でそんなにキョーコ不足に陥っていたのか?最近、我慢できる時間がどんどん短くなってきてないか?と、焦る社。


「わわわ、あ、いや。その・・・そ、そ、そこにキョーコちゃんのらしき荷物もあるし、すぐ戻ってくるんじゃないかな。」


どもりながら社が指さす方を見れば、たしかに見覚えあるキョーコのショルダーバッグが置いてある。
それに気づいた途端、蓮の黒い気配がスッと引っ込んだ。


「そうですね。すぐ戻ってきそうだし、少しここで待ってみましょうか。社さん(待たないとは言わせませんよ)。」


キラキラ笑顔の強烈な圧力が社にのしかかる。


(えっと、俺、お昼ごはん食べに行きたい・・・なんて言える空気じゃ・・・ないよな・・・。蓮をここに1人にするわけにもいかないし・・・。はあ)



* * *



「ん?これ・・・。」


つぶやきながら、蓮が椅子の上に置かれていた1冊の雑誌をとりあげた。
その瞬間、なぜか蓮の周囲の温度がスーッと下がる。


「このページが開いたままになってたんですけど・・・いったいどういうことですかね。」

少々不穏なその口調が気になった社が、なになに?と覗き込むと・・・。



『恋愛心理テスト 好きな人があなたをどう思ってるのか』



(・・・は?)


社の予想だにしないタイトルがそこに踊っていた。


(えっと・・・ここ、ラブミー部だよな。一体誰がこんな心理テスト見てたんだ?
・・・っていうか今、蓮はこの雑誌どこから取ったっけ?
そこのキョーコちゃんらしきバッグが背にかかってる椅子からじゃなかったか?

それって、まさか・・・。)


えええええええーーーーーー!!!!


思わず声をあげそうになったのを必死に手で抑えた社が飛び上がった。

「ページが開いてたってことは誰かがこの心理テストを見ていた、もしくはやってたってことですよね。
いったい誰なんですかね。ねえ、社さん。」

どう思います?と言いながらこちらに頭を向ける蓮を、社は直視することができなかった。


(ま、魔王・・・。)


そして気がつく自分の状況。今自分は、世にも恐ろしい魔王と2人で密室にいる。


(ああ俺、なんで今日ここに来ちゃったんだろ。椹さんに余計なこと聞くんじゃなかったよ。
ただ、ちょっと蓮を喜ばせようと思っただけなのに。なんでこんなことになっちゃうかなあ。
ああ、後悔先に立たずってまさにこのことだよな。
ううううう・・・・っていうか、なんか酸素が薄くなってきてないか?ここ。)


生き物がもつ自己防衛本能か?社の脳は、事実の認識を必死に拒否しようとする。
が、蓮の放つピリピリと威圧感あふれる視線は、それを許さない。


(まさか、キョーコちゃんじゃないよな。そんなはずないよな。誰か否定してくれよぉ~。
・・・いや、まて。)


ふと冷静になる社。


(仮にこれを見ていたのがキョーコちゃんだったとして、彼女が誰かに恋をしていたとして、その相手が蓮って可能性もあるんじゃないのか。
なんてったって、蓮は芸能界一のいい男、抱かれたい男NO.1なんだからな。
しかも、あんなに仲がよくて、正直ぱっと見にはカップルにしか見えないくらいなんだから、その可能性、高いんじゃないのか?)


そうはいうものの、自分がこれまで目にしてきた蓮の見事な撃沈ぶり、キョーコの華麗なスルーぶりが頭に浮かび、社は思わずいやいやと首を振る。


(あの娘に限って希望的観測は危険だ。
今はまず万一を考えて胃薬・・・。いや救心を用意しておいたほうが無難、かも・・・。)


一番近いドラッグストアってどこだったっけ?と、今そこにある危機から目をそらし、未来の<終わった>自分へと思いを馳せる社なのであった。




(つづく)

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ネットで見つけた心理テストを敦賀さんにやらせたかっただけなんですが…
なんか心理テストにたどりつくまでがえらく長くなってしまいました。
ごめんなさい。次で本題である心理テストに入ります。

ちなみにこの心理テスト、実際にネットで見つけたものです。
見つけた瞬間、浮かんでしまったこの妄想w
雑誌ということにしたので、少し設定変えしてますが、基本的に質問や結果はそのまま使わせていただいてます。
気になる方はぜひチャレンジしてみてくださいね。

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