スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

10年後 <飛→奏> (前編)

週末の寒波が原因か、完全に風邪を引きました。喉の痛みが治まらず、こんなに「会社いきたくなーい」って思ったのはひさしぶり。とりあえず薬飲んで、リポD飲んで、のど飴舐めまくって、今ようやく落ち着いたところです。
みなさんも風邪にはくれぐれもお気を付けくださいね。

さて、先日「飛鷹×秦江が書きたーい」と叫んでいましたが、そのうえ週末読んだ「図書●戦争」文庫本内のSSが、そりゃもう「飛鷹くんとモー子さんで妄想せずにはいられない!」って内容で…。ついその妄想を文字にしはじめちゃいました(図書●戦争のファンの方、勝手をしてごめんなさい)。

こちら蓮×キョではなく飛×秦(飛→秦ですが)になりますので、それでもOKという方のみお読みくださいね。



「・・・喜んでないわけじゃないのよ。」
言いながら、はぁーっとついたため息が聞こえる。

「むしろ祝砲上げて万歳三唱したいくらい。やっとくっついたかって、ほっとしたんだから。」
カタンと音を立てて置かれたグラスには、女性が飲むにはどうかと思える茶色の液体。
それもかなり色が濃いものが入っている。
もともと可愛くて甘い低アルコールのカクテルを好むような女じゃないってことはわかってる。酒が強いのも。
でも、いくらなんでも今日はちょっと飲みすぎなんじゃないか?

そう思いつつ、横目で隣りをのぞきみた。
案の定酒が入りすぎたのか、目もとをぽっと赤く染めていて、薄暗いライトがその瞳を必要以上に潤んで見せている。
―――ちくしょうっ、相変わらずキレイだな。
つい見惚れた自分に、歯ぎしりした。


「傍(はた)から見たら、あの二人が想い合ってるのなんて火を見るよりも明らかだったじゃない。」
思い出すような口ぶりに、たしかにそうだなと大いに頷く。
昔はともかくここ数年、たぶん身近な人間でアイツらの気持ちに気づかなかった人間なんていないはずだ。
なんで当人たちは気が付かないのか、正直訳が分からないくらい、あの二人の無意識なラブラブぶりはひどかった。
とくに思春期まっさかり、しかも10年来一方的な片想いに苦心している俺は、その様子を見せつけられるたびイラついて仕方なかった。
さっさとくっついちまえって、何度思ったことか。
まあ、だからといって両想いだって教えてやるような親切、する気はまったくなかったけどな。

「あの子ってああ見えてちょっとしたことですぐ落ち込むし。落ち込む原因といえばたいていあの男だし。そのたびに、抱きつかれて涙される身としては、正直どっちからでもいいからさっさと告白して、くっついちゃえばいいって思ってたのよね。」
・・・だろうな。
アイツが泣きつく姿は簡単に想像がつく。
出会ったころから、アイツは何かといっちゃあ秦江に飛びついて、抱きついて、くっついて。
さりげなく俺を邪魔者扱いしやがったっけ。
あー、思い出すだけでむかついてくる。

―――あれからもう10年か。

「二人が素直にくっついてくれれば、私もずいぶん楽になるだろうなって。」
まあ、他人様がどうこういうもんじゃないからほっといたんだけど、と秦江はぼやいた。
ぼやいているくせに、その横顔は思わず目を奪われるほどきれいだ。

そうやって艶やかな黒髪をさらりとかきあげる仕草に、いったい何人の男が翻弄されてきたんだろう。
落ちる黒髪の隙間から見えるうなじの白さに、どれだけの男が心惑わされてきたんだろう。
考えるだけで、イライラが募る。

「じゃあ、思い通りになっただけじゃないか。なのに、なんでそんなにうだうだしてるんだよ。」
イラつく気持ちのままつい口にした。
すると秦江は拗ねたように唇を尖らし、間近から俺を見つめた。
それだけで、心臓がバカみたいに飛び跳ねる。

―――おいっ、その顔。まさかよそでもしてないだろうな。

ぜったいに口には出せない独占欲。
わかっているのかいないのか、無防備に顔を寄せてくる隣の女。
俺は思わずグラスを呷った。
じいちゃん譲りの酒の強さで、これくらい何杯飲んでも酔いやしない。
いや、秦江の隣りにいるかぎり、俺はどんなに飲んでも酔ったためしがない。


「わかんない。」
投げた質問に返ってきたのは、ふてたような、すねたような、少し投げやりな口調。
常に冷静沈着な秦江からは考えられないそんな姿も、そもそもの原因はアイツかと思うと無性に腹立たしい。
秦江がこんな風に素の顔を見せるのは、結局アイツが引き金なのかとおもうと悔しくてならない。

―――あーあ、女に焼きもちかよ。

情けないけど仕方ない。いつだって、俺はアイツに勝てたためしがないんだ。
どう考えても、秦江の中の俺の立ち位置はアイツよりずっと後ろだ。
それでもほかの男どもに比べたらずいぶん近い位置にいると思っているからまだ落ち着いていられるが、それだって”恋人”としてというより、どちらかというと”弟”に近い。


実際、こうして二人で飲んでいても、俺たちがスキャンダルになったことは一度もない。
業界の人間で、俺が小学生のときから秦江と仲がいいのを知らない人間がいないせいだ。
みんな俺たちのことを、仲のいい“姉と弟”だと思い込んでる。
そう・・・、アイツらが仲のいい“先輩と後輩”って言われてたみたいに。
でもアイツらはいつの間にかそこから抜け出して、恋人同士になったと思ったら今度は夫婦になるという。

それなのにこっちはどうだ。
相も変わらず姉と弟。
それ以下でもないが、それ以上でもない。
どう頑張ってもちっともその距離を縮められない。
縮まったものといえば、身長の差と・・・強いて言えばようやくタメ口になった言葉遣いくらいだ。

―――お前はちっとも気づいてないみたいだけど。

俺はもう出会ったころの小学生の俺じゃないんだぞ。
そりゃ、お前は最初から俺を“ガキ”だなんて目でみてなくて、ちゃんと対等に俳優としてみてくれてたけどさ。
今となっちゃ、そのせいでいつまでたっても“男”としては見てくれやしないんじゃないかと、時々妙に空しくなる。
知ってるか?
俺はもう酒だって飲める年になったんだぜ。
身長だって、敦賀ほどじゃないけれどお前より15cmも高い。

―――ほら。

カウンターの上で並ぶ手のひらを眺める。

――――手だってお前の手をまるごと包み込めるくらい大きい。





(続く)
スキビ☆ランキング ←参加してみました。よろしくお願いします。
関連記事

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。