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作戦変更

デビッド・ボウイの訃報を知り、衝撃を受けた昨夜。
ショックで胸がいっぱいで夕飯もろくに食べられない・・・・とごはん半分で箸を置いたら、深夜におなかが空いて目が覚めました。

さて、こちらは成立後の二人のお話です。



「愛してる。」
「誰よりも好きだよ。」
「キョーコがいなかったら、生きていけない。」

付き合い始めてからずっと、蓮さんは会うたびにそんなことを言う。
イタリア人も真っ青の過剰な愛情表現は、決して口だけのことじゃないって
頭ではわかっていても、奥ゆかしき日本女性の私としては辟易してしまうことばかり。
でも、それが蓮さんの平常運転。

もちろん、そんなの二人きりのときだけだし、
誰にでも言ってるわけじゃないのは重々承知していることだけど。
あんまり毎日言われると、時々小さな不安に襲われる。
なぜだろう。
“愛してる”も“好き”も、ましてや“生きていけない”なんて。
そんなに簡単に口にできるものじゃないのに…って思ってしまうのは私だけ?

なにより、
言われる私にとっても
言う蓮さんにとっても
いつかそれが“当たり前”になってしまいそうでなんだか怖い。
そうして気が付けば、ただ言葉だけの繰り返しになってしまうんじゃないかと不安が募る。

そんな気持ちが積もりに積もって。
つい「もうっ、いい加減にしてください!」なんて口にしてしまった。
そんなつもりはこれっぽっちもなかったのに。

その瞬間、ぱっと蓮さんの顔に浮かんだショックを受けた表情と傷ついたように瞬く瞳に、思わず息をのんだ。

どうしよう。
私ったらなんてひどい。
言われて嬉しくないわけがなかったのに。
たぶん本当はちょっと照れくさいだけだったって、言ってから気づくなんて。

それなのに、それでもまだ素直になれなくて。
言いっぱなしのまま夜が明けた。
まさかそれが原因であんなふうに変わってしまうなんて、そのときは思ってもみなかった。


蓮さんはぜんぶ言わなくなってしまった。
「愛してる」も「好きだよ」も「君がいないと生きていけない」も。

あの日から蓮さんは・・・。




「キョーコは本当に俺のことが大好きなんだね。」
「え?」
「だって、俺に美味しいものを食べさせたくてこんなにご馳走を作っちゃったんでしょ?」

「キョーコはそんなに俺のこと愛しちゃってるんだ。」
「へ?」
「だって、なかなか連絡がとれなくて心配だったからわざわざこうして電話をかけてきてくれたんでしょ?」

「もう、これじゃキョーコは俺がいないと生きていけないね。」
「は?」
「だって、ほら。こんなにすっぽり俺の腕の中におさまって幸せそうな顔してるんだから。」


にこにこしながらそんな風に言い募る。
言われて思わず「はあ?」とまじまじ見返したら、「違うの?」と問いかけてきた。

たしかに大好きだけど。
でもだからって、それこそ素直に“はい”なんて言えるわけない。
だってそんなの・・・恥ずかしすぎるもの。

むううううと口を尖らせて、そのまま俯いてしまったのに、「ねえ、違うの?」って繰り返してくる蓮さん。
もうっ!
どうしてこういうときに限って、わざわざしゃがんで上目遣いに見つめてくるんだろう。
どこか拗ねたように、それでいて淋しそうに瞬く瞳にのぞきこまれて、私が勝てるわけないじゃない。

「キョーコ?」
右に視線をそらしても、左に目線をずらしても、すぐに追いかけてくるその眼差し。
そうして最後には、両頬を大きな手ではしっとつかんで、まっすぐこつんとおでこをぶつけてくる。
「ねえ、俺の事大好きなんでしょ?」
あああ、もうーーーっ!

「ほら。だって、真っ赤だよ。真っ赤っか。」
そ、そんなの、し、しりません!
顔を背けたくても、両手でがっしり抑えられていて動かせない。
なんだかくやしくてぎゅっと目を瞑ったのに
「まったく、ほんとにキョーコは俺のことが大好きなんだから!」
とどめをさすようにそう言って、蓮さんは両頬にキスをしてきた。

え?どうして頬なの?
とっさに思って唇を嚙みながら目を見開いたら、クスクスと笑い声が聞こえてきて。
チュッ
いきなりされた、啄むようなキス。
それからもう一度。
今度はゆっくりやさしく口づけて。

「作戦変更、大成功。」って!


ひどいっ、そんなの作戦変更になってません!
言いかけて口を閉じ、肩を竦めた。
悔しいけど、負けを認めるしか・・・ないよね。
だって、本当に大好きなんだもの。

でもやっぱりどこか悔しくて。
考えて。
考えて。
今度は私から深い深いキスをした。
言葉にするのは恥ずかしくてできないけれど。
私だってやるときはやるんです!

目を真ん丸にして、蓮さんの頬が私とおんなじくらい赤く染まる。
「わ、私だって“作戦変更”することあるんですから!」
ふふんっと鼻で笑ったつもりだったのに。
「負けたよ。」
言いながらちっとも“負けてない”顔つきで、蓮さんは私をぎゅっと抱きしめた。

負けた、なんてうそばっかり。
思いながら私は黙って身を委ねる。
そうして温かい胸にすっぽりと顔を埋めたら。


――――いつもよりほんの少し早い鼓動がはっきりと聞こえた。




fin
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コメント

  • 2016/01/12 (Tue)
    23:11
    やぁ〜ん♪

    ニマニマと顔が崩れてしまいますぅー!!
    蓮様の作戦変更!そしてそれに仕返しするキョーコちゃんの言葉と行動にノックアウトされちゃう蓮様!!

    可愛くて可愛くてキュンキュンでございました♡
    今日はいい夢見れそうです〜♪

    風月 #- | URL | 編集
  • 2016/01/13 (Wed)
    22:34
    Re: やぁ〜ん♪

    風月さんをニマニマ×キュンキュンさせられてよかった~♪♪

    ちなみに、キョコちゃんの仕返しに味を占めちゃった敦賀さん。
    同じことを繰り返して、「知りません!」って拗ねられちゃうところまでデフォですwww

    ちなぞ #- | URL | 編集

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