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エピファニー (前編)

初詣でおみくじを引いたら、「平」が出ました。なんかとっても微妙な気持ちです。
さて、今日のお話。後編分まで一気に書き上げたかったのですが時間的に厳しそうなので、とりあえず前編をUPさせていただきます!



1月6日、水曜日。

早朝から行われていた撮影を終え、蓮と俺は事務所へ向かい車を走らせていた。
もっとも俺は助手席に座っているだけで、走らせているのは蓮だったけど。


「あ、社さん。ちょっとそこに寄っていっていいですか?」
不意に蓮が口を開いた。
指さしているのは、最近話題のパティスリー。

(ああ、そういえば今日はキョーコちゃんが事務所にいるんだっけ。)
今夜行われるLME主催の新年パーティの手伝いで、今日は終日事務所にいると聞いた。

(手土産、かな?・・・っていうか、こいつまっすぐラブミー部室に行く気か。)
担当俳優のわかりやすすぎる恋心に、思わず笑みがこぼれる。
時計の針は、まもなく14時。
事務所での打ち合わせは17時開始の予定だから時間の余裕も十分だ。

「ああ。かまわないよ。」
返した俺の言葉ににっこりと微笑み返す蓮。
おいおい、その笑顔。向ける相手を間違ってるだろう。
なんて思ったけれど、あえて口には出さずにおいた。


*


「やあ、キョーコちゃん。」
「最上さん、こんにちは。」

揃ってラブミー部を訪問すると、彼女は一人でパーティで使うと思しきビンゴカードのチェックをしているところだった。

「あれ?琴南さんは?」
「モー子さんは、会場準備のお手伝いなんです。カードの確認は一人で十分だろうって言って。」
眉尻を少し下げ、淋しそうな表情になるのは、それだけ琴南さんのことが大好きってことだろう。
蓮的には微妙だよなあ・・・と目を向けるが、当然隣の男はそんなそぶりなどこれっぽっちも見せていない。
それどころか、いかにも残念そうな顔をして、
「そうか。せっかくおみやげをもってきたのに残念。」
とまで言ってみせた。

おい、残念って心にもないこと口にするなよ。
というつっこみはやはり心の中だけにしておく。

「ほら、これ。」
と蓮が掲げてみせたのは、やはりというか。先ほどの店の紙袋。
「うわあーーーその紙袋!!!今すっごく人気のパティスリーですよね!」

花が咲いたような満開の笑顔につられ、蓮はもちろん俺まで思わず顔が綻んだ。
これだけ喜んでくれるなら、そりゃケーキの1個や2個や3個や4個、買ってっちゃうよなあ。

「あ、でも、そんなお気遣いいただいて申し訳ないです。」
はっとして困り顔になるキョーコちゃんに、蓮があっさりと応えた。
「いや、俺が食べたかっただけだから。」

"食べたかった"?
今、お前本当にそう言ったのか?

蓮という人間を知っていれば『ありえない!』と叫びたくなるセリフの登場に、思わず口がぽかんと開いた。
キョーコちゃんも、鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしている。
「敦賀さんが?食べたかった?ケーキを?」
ぶつぶつと呟く気持ちもよくわかる。
俺だって、耳がおかしくなったかと思ったからさ。

「だって今日は1月6日でしょ?」

1月6日ってなんかお菓子を食べなきゃいけない理由でもあるのか?
俺にはさっぱりわからなかったが、どうやらキョーコちゃんにはそのセリフで何かピンとくるものがあったらしい。

「もしかしてガレット・デ・ロワですか?」
「そう。よくわかったね。小さい頃いつも食べていたから、懐かしくてつい買っちゃったんだ。」
言いながら蓮は、持っていた紙袋に手を入れた。

「ほら、王冠もあるよ。」
取り出したのは、紙でできた金色の王冠。
・・・ってなんじゃ、そりゃ。

「3人しかいないけど、運試ししてみる?」
「うわあ、楽しそう!私、一度やってみたかったんです。でも・・・」
「琴南さんや天宮さんの分は、別にとっておけばいいんじゃないかな。日持ちするお菓子だから大丈夫だと思うよ。」
「そうですね。じゃあ少し早めのおやつということで。私、コーヒーの用意をしてきます。」
「それじゃ、ケーキのカットはしておくよ。」
「あ、ありがとうございます!ナイフとお皿も今とってきますね。」
「うん。よろしく。」

いそいそと席を立つキョーコちゃんを目で追う蓮の横腹をつんつんとつつく。
『ガレットなんとかってなんだよ?』
『ああ、あとで説明します。俺、やることあるんで。』

相変わらず俺には冷たいな。お前。
どれだけジト目で眺めても、蓮にはまったく何の効果もなく。
首を傾げ、眉をしかめる俺をあっさりスルーして、いそいそと箱を開け始めた。

出てきたケーキは折り目の綺麗な小さめのパイ。
へえ、なかなか美味しそうじゃないか。
じゃあ・・・とナイフに手を伸ばしかけた俺を蓮が手で制する。

『社さんはそこに座っててください。何もしないでいいですから。ああ、そうだ。このあとのスケジュールの確認でもしといてください。』


おい、蓮。
その様子から察するに、お前ぜったい何か企んでいるだろう?




(続く)
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