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12月21日

up予定が遅れちゃいました。勢いだけで書いちゃった社さんのボヤキ節的小話です。これもキョコ誕?



「なあ、蓮。」

声を潜めて社が言った。
それは、とある12月の昼下がり。
予定していた雑誌取材が急きょ中止になり、事務所に戻った社と蓮はさっそく某部室に足を運んでいた。
さすが抱かれたい男NO.1というべきか。大っぴらに騒いだりはしないものの社内にも蓮のファンは多く、蓮が姿を見せれば女性陣の熱い視線がひけもきらない。
そのため事務所にいてもなかなか落ち着く場所のない蓮にとって、ここは数少ないくつろげる場所だ。
そのうえ目当ての少女が折よくいれば、蓮にとってここは天国にも変わる。
もっとも今日は、この部屋本来の主たちは皆留守。
蓮と社の二人だけが会話もなくがらんとしたこの場所で時間を持て余していた。


「で、お前さ、今年はどんなネタ仕込んでるの?」
「は?」
社の言葉に蓮は、何のことか?という顔をする。その顔を横目で眺め社は顔の前でヒラヒラと手を振った。

「いや、ごまかさないでいいから。まさか、また薔薇ってわけでもないだろ?」
あえてそう口にすれば、蓮の眉間がぴくりと動く。
が、それ以上は反応せず、素知らぬ顔で手にしたスマホに目を戻した。
それをじっと見つめていた社は、はあーーーーっと大きくため息をついた。

「まあ、何を仕込んでるかなんて俺には関係ないけどさ。お前も知ってるように、俺さ。去年の末から必死に調整して、お前のオフをもぎ取ったんだよね。今月の25日と26日。さすがに1年ありゃ決めてくれるだろうって思ってさ。」
何を”決める”のかはあえて口にしない。
相変わらず蓮は聞こえないふりを続けているが、スマホの画面に目をむけてはいるが、タップする様子もなく十数分。
それがパフォーマンスにすぎないのはよくわかっている。

「それがなに?明日、明後日、明々後日。ん?その次はなんて言うんだっけ?とにかくあと4日だっていうのに、この状況。去年と全然変わってないじゃないか。」
鼻先でのんきに指折り数えて見せる社を、蓮はさすがにぎろりとにらみつけた。
「おーこわっ!そんな顔して、今この瞬間にキョーコちゃんが戻ってきたらどうすんの?」
その一言で、ブリザードがあっさり去るのだからあきれたもんだと心の内で社は呟く。

「こんなんでさ、俺、オフとる意味あった?まあ、25日はともかくとして、26日。もうさ。今から仕事いれちゃってもいい?」
正直、通常の蓮のスケジュールは分刻み。年末年始はそれがさらに悪化する。
そんな中連続で休みをいれるなんて、1年がかりでようやく可能かどうかというほどありえない至難の業なのだ。
当然、その分他の日程に大きく影響を及ぼすし、社自身の予定も変わってくる。
「その分年明けに休みを入れるとか、さ。」
無理に休みを集中させるよりも適度に散らしたほうが、その先の忙しさもふまえ蓮の体調管理という意味での効果も大きい。

「まったく亀の歩み、だよな。っていうか、亀より遅い?」
さすがにそろそろ蓮のこめかみがぴくぴくしはじめているのには気付いたが、あえて自分を勇気づけ、呆れ声に拍車をかけてみる。
「まあ、ウサギと亀のウサギみたいに急いてことを仕損じるよかましかもしれないけどさ。スタートダッシュって意外と大きいんだよな。なによりウサギがいくらバカもそう何度も同じ間違いは繰り返さな・・・。」

「社さん。」
ぴしゃりと叩きつけるような声。
ウサギが誰を暗喩するか、蓮が気づかぬわけがない。
先ほどの視線がC級ブリザード(視程1km未満、風速10m/s以上、継続時間6時間以上)とするならば、今投げられた声はそれを遥かに超えるA級ブリザード(視程100m未満、風速25m/s以上、継続時間6時間以上)。
社は一気に南極昭和基地に飛ばされた気持ちになった。
(しかも、外出制限付きかよ…)
これ以上焚きつけるのはさすがにまずいかと、社も己の安全を考え始めたとき。

ガタン
いまいち建付けの悪い扉を開けようとする物音が聞こえ、社はさっと口をつぐんだ。

「あっ!いらしてたんですね。」
現れたのは、大きな荷物を抱えた一人の少女。
途端に空気が明るく温かく変わる。
(あ、俺、日本に帰ってきた。)

「やあ、最上さん、ひさしぶり。」
先ほど聞こえたのとは、気温にして軽く40度は違うであろうその声。
(久しぶりってお前、昨日も無理やり事務所に戻って顔合わせだだろうが。)

「え?でも昨日も・・・。」
小首をかしげ言いかけて、少女はにっこりとほほ笑んだ。
「今日もお会いできてうれしいです。」

そっと隣を伺えば、破顔度100%の蕩けるほど柔らかな笑顔を浮かべ少女を見つめる担当俳優。
その様子はほほえましくもあり、また情けなくもあり・・・。
(お前さ、ほんと・・・。)
突っ込みどころは山ほどあるが、まさかここで本音を口にするわけにもいかず、社はよいしょと立ち上がった。

「こんにちは、キョーコちゃん。ちょうどよかった。俺、今からちょっと打ち合わせなんだ。申し訳ないけど、しばらくコイツの相手をしてやってくれる?」
(ついでに、25日と26日も。)
なんて心で付け加えながら書類をまとめ、さりげなく向かいの蓮ににやりと笑う。

「あ、蓮。さっきの件だけど、腹決めたらさっさと教えてくれよな。直近の件も、先の件も。理由によっちゃ、いろいろ調整もやぶさかでないから。」
そしてまだ扉の横に立っていたキョーコに向き直った。

「そういえばキョーコちゃん、年末の歌番のアシスタントに抜擢されたんだっけ。」
その番組には、当然のごとく不破尚も出演する。
「長時間出ずっぱりで大変だよね。」

この件は蓮も初耳のはずだ。
案の定、破顔が瞬く間に崩れ、よく見れば眉間に小さく皺が寄っている。
(あがけ、あがけ。青少年よ。)
冷静さを失うことなど普段はまったく見せない男の微妙な焦りがおかしくて、思わず緩む口もとをそっと隠し、前を向く。

「がんばってね」
去り際にさりげなくわりと大きな爆弾をひとつ落とし、いったいどちらに向けたものなのかよくわからない”がんばって”という言葉を残して、社は部屋を出た。
(25日まであと4日。いくらへたれでも、ここで決めなきゃ男がすたるぞ。)
応援しているのか、面白がっているのかよくわからない微妙なエールを、心の中で蓮に向けて投げかけながら。


後に残されたのは、見目麗しき青年と4日後に運命?の誕生日を迎える予定の少女が一人。



fin
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コメント

  • 2015/12/28 (Mon)
    19:41
    ご無沙汰しております。

    ヤッシー兄ちゃんの捨て身の発破かけ。

    楽しゅうございました。

    他にもキョコ誕作品がアップされていて、嬉しいです。
    今から拝読させていただきます。

    まじーん #NkOZRVVI | URL | 編集
  • 2015/12/28 (Mon)
    22:40
    Re: ご無沙汰しております。

    おお、お久しぶりです^^

    最近ちまちまこっそり活動再開したのですが
    あまりにも久々で「え?お話ってどう書くんだっけ?」状態。
    読んでいただくのがお恥ずかしいくらい…^^;
    でも、こうしてコメントまでいただけて、ホントうれしいです!

    こんなところでナンですが4周年おめでとうございます!
    お祝いにというには粗品すぎて恐縮なのですが、
    もしよかったら、4周年企画第2弾に「痣」でも「Birthday eve」でもお好きなものを受け取っていただけませんでしょーか。
    お邪魔でなかったらぜひ!

    ではでは~

    ちなぞ #- | URL | 編集

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