熱っ  -成立前ver.-

みなさま大変ご無沙汰しております。いろいろあって、すっかり妄想意欲が停滞していたのですが…。
大人気スキビマスターのピコ様が今やってらっしゃる企画「Please kiss me ~◯◯なキスを私にして~」を拝見していたところ、紹介されている素敵なお話と、ピコ様がおしゃべりされていたキスネタに刺激され、枯れ果てていた妄想意欲がふわりと湧き上がってきました。
素敵企画に乾杯♪

とはいえあまりにもひさしぶりに書いたお話で、拙さに磨きがかかっております(そっちに磨きをかけてどうする!)。
ありゃりゃという出来で恐縮ですが、もしよかったら暇つぶし気分でかる~く読んでくださいね。
成立前ver.と成立後ver.の二本立てでお届けします。


久しぶりに夕食を作りに来てくれたのがうれしくて、彼女がいるキッチンを子供みたいにうろついていた。

「なにか手伝おうか。」
「とんでもないです!」
「なんでもやるよ。」
「いいえ、どうぞリビングでくつろいでいらしてください。」
「俺にできることはない?」
「ほんとに大丈夫ですから。」

何度も断られて、それでもかまわずうろついて。

「手は届く?何かとってほしいものがあったら…」
性懲りもなくまたキッチンをのぞいたら
「つ、る、が、さんっ」
さすがに“もうっ”と呆れた顔をされてしまった。

正直、そんな風に叱られることすらうれしくて。
「ほらほら、口がとがってる。」
つい茶化して返せば、なおさらむくれ顔になる彼女。
その様子が、また一層愛しくて。
怒られているというのに、口もとが緩むのを抑えきれない。

そんな俺に気づいているのか、いないのか。
君はハァっと小さく息をつき、
「もうっ仕方ないですね。じゃあ、この鍋を…」
肩をすくめながらそう言った。

「OK。」
視線は、まだ少しとんがった彼女の口先に置いたまま、言われた鍋に手を伸ばした瞬間、
「熱っ!」
コンロに置かれたシチュー鍋の肌にわずかに指先が触れた。

「きゃあ!大変!」
とっさのことに驚いた彼女は、焦った様子で俺の手を取り指先をさっと自分の耳に寄せた。

「大丈夫ですか?まさかやけどなんて…「大丈夫。ちょっと驚いただけだから。」」
動揺する彼女をなんとか安心させたくて、ほほえみながら何でもないよと首を振る。
実際指先は、瞬間的に熱さを感じただけでどうということはなかったし。
それより俺の意識は、彼女の耳朶にふれたままの指先に向けられていた。

天鵞絨のように滑らかな小さい耳朶。
指先にぷるると当たるそれは、とろけるように柔らかく、それでいてひんやりと冷たい。
俺の手をつかむ君の掌は、こんなにも温かいのに。
その感触に魅了され、温度差に惑わされ、頭の芯が痺れるような感覚を覚える。

(耳たぶに触れるのは、唇に触れるのと似ているって、言っていたのは誰だっけ。)



「きゃあ!ごめんなさい!私ったら、いくら熱いものを触ったときは耳たぶに触るといいっていうからって、つ、敦賀さんの手を…」

ぱっと離れかけた彼女の全てが恋しくて。
気が付けば俺は、自分の掌を彼女の耳元から首筋へと滑らし、そのまま小さな頭を引き寄せていた。

「あ、あの、つる…がさ…」

見上げる彼女の僅かに開いた唇を、自分のそれで強引に塞ぐ。
失いかけた感触を取り戻そうと、もがく腕ごと抱きしめて離さない。


コーンを騙る俺にそっと口づけてくれたあの日以来、ずっと夢見ていた二度目のキス。
それは、最初のキスよりずっと甘くずっと熱く、俺の心を震わせる。

(ごめん。でも…)

いきなりこんなことをして彼女がどう思うかなんて、配慮の欠片も消えていた。
そんな心の余裕、唇に触れた瞬間にどこかの空に消え失せた。

(もう、無理。)

「ずっと前からこうしたかった。」

吐き出すようにつぶやけば、彼女の肩がびくりと震え固まった。
近すぎて少しぼやけた視界の中で、俯いたまつ毛が何か言いたげに揺れ動くのを感じる。

だからもう一度キスをした。
余計なセリフは言わせない。
いや、聞きたくない。

(逃げないで。お願いだから。)

性急なのはわかってる。
でも、もう限界だった。

「好きなんだ。もうずっと。ずっと前から。」

それだけ急いで囁いて。
彼女の体から力がぬけるまで、長い長いキスをした。

どうかこの気持ちが彼女にちゃんと届くように、と。
願わくはこの俺を受け入れてくれるように、と。
ただひたすらにそれだけを祈りながら。

ありったけの思いを込めて。


――――長い長いキスをした。



fin
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コメント

  • 2015/11/18 (Wed)
    21:43
    ご参加ありがとうございました!

    否定の言葉も拒否の言葉も飲み込んで、自分の気持ちを届けようとする蓮さん、我慢のしすぎで最後は強硬手段w力技で押しましたね(爆)
    キョーコちゃん攻略法としては、確かにこれが早道かも^^
    本誌でも、学習能力なんて全部かなぐり捨てて、キョーコちゃんを落としてしまえばいいのにと思ってしまいましたよw
    久しぶりにちなぞ様の新作が読めて嬉しかったです!
    ご参加ありがとうございました。

    ピコ #- | URL | 編集
  • 2015/11/24 (Tue)
    14:46
    Re: ご参加ありがとうございました!

    コメントありがとうございます!
    こちらこそ、突然の企画乱入失礼いたしました。

    > 我慢のしすぎで最後は強硬手段w力技で押しましたね(爆)

    敦賀さん、外見はともかく(←)中身は恋愛初心者のヘタレ男子ですからね。
    大人ぶってるけど、追い詰められたら何をするかわかりません。
    キョコちゃんに対しても余計な事いろいろ考えてないで
    がつーんとぶつかっていってほしいもんです(無理かw)

    ちなぞ #- | URL | 編集

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