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おめでといんたびゅー (3)

息抜き小話なので、適当に読み流してくださーい。
小出し連載その3です。


蓮とキョーコが結婚して3年。
世間に“京子”の妊娠が発表されたのは半年ほど前のことになる。

経過は順調で、もう予定日まで2週間を切っていた。
蓮のソワソワも日に日に増し、『どうせ仕事にならんだろ。』という社長の鶴の一声で、来週は蓮まで“産休”を取る予定になっていた。
その分、今週のスケジュールの詰め込みようは半端なく厳しいモノだったけれど。
ところが・・・。



事の始まりは、深夜事務所に突然入った病院からの1本の電話だった。
急な陣痛とそれに続く破水で、先ほどキョーコが病院に運ばれたというのだ。

不運には不運が重なる。

深夜救急で運ばれたため、担当医も担当看護師もおらず、いきなり事務所へ連絡という対応がとられてしまったこと。
事務所側で電話を受け取った人間が、まだ仕事に不慣れな新米社員だったこと。

最初に連絡した社の携帯はたまたま電波が届かず、新米社員は慌てて撮影所に呼び出しをかけた。
が、いろいろ移動の多かった社となかなか連絡をとることがとれない。
時間が時間だっただけにほかの社員との連絡もうまく取れず、焦った彼はよりにもよって、蓮の携帯に直接連絡を入れてしまったのだ。

(あれには、本当に参った・・・)

社ははあーっと大きく息をついた。


そんな社をよそに、蓮がゆっくりと口を開いた。
「昨夜のことは本当に感謝している。君にはいろいろ世話になった。でも・・・。」
押し殺した声でぼそりと口にする。
「でも、それはそれとして貴島くん。俺に何か言うことはない?たとえばソレだけど・・・。」

指差す先で無情にも続く今朝のインタビューシーン。


*


「それで貴島さん、京子さんはもう落ち着かれたんでしょうか。」
「ああ、だいじょうぶ。俺も話を聞いて、ほっとして出てきたところだから。」
「しかし、昨夜はさすがの貴島さんも相当焦ったのでは?」
「予定日は、まだまだ先だって聞いてたからね。ほんと、話を聞いたときは驚いたし、焦ったし、慌てたよ。とにかく病院へ急がなきゃってね。いやもう、スピード全開で車飛ばしちゃった。・・・おっと、ここはカットでお願い。」

向けられたマイクに向かい、おどけた表情の貴島がぱちりとウインクしてみせる。


*


「え?なに?」
きょとんとしつつも、蓮の言葉に画面を見た貴島の顔に満面の笑顔が浮かんだ。
「お、疲れた顔でも俺ってイイ男。・・・ねえねえ、ここだけ見てると、何だかいかにも俺が父親っぽくない?」

(ああ、また余計なことを!)
心臓の辺りまでキュッと傷みが走り、思わず手を遣った社の視線の先で、貴島が突然ぱちんと手を叩いた。


「あーーーーー!」




(続く)
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コメント

  • 2014/10/06 (Mon)
    12:08
    あ゛あ゛~貴島さん!

    1話目からドキドキして読み進めていけば・・・何気に貴島さんのフェイクは記者たちの言葉から想像つくものの、理由が展開がわからず「なんでーぇ」の坩堝。
    ようやく理由が分かりましたが、蓮様が、蓮様が可哀そ過ぎます・・・初めてのベビーなのに!
    この後は?目が離せません!

    ひろりん #- | URL | 編集

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