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もう一回

ありがちなネタですが・・・^^;
某掲示板で「彼女とのエピソード」話を読み、その瞬間に思わず蓮キョ変換してしまったネタです。
さらりと読み流してくださいませ。

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もう一回
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どちらかといえば、深夜に近い時間に放送している大人向けのトーク番組。
視聴者から事前に募集した質問をベースに、番組は進行されていく。
その日のゲストは、俳優敦賀蓮だった。

「それでは次の質問です。“敦賀さんが、最近キュンとした出来事はなんですか”?これはまた、気になる質問ですね。」

朗らかな笑顔とともに司会者がメリハリの効いた声で話しかける。
さりげなく長い脚を見せつけるように組んで座っていた蓮は、小首を傾げながらにっこりと微笑み返した。

「キュン、ですか?」

「ええ。いわゆる胸キュンってことですね。まあ、敦賀さんはまだご新婚ですから、いくらでもキュンとすることはあると思いますが・・・。」

「そうですね。妻の顔を見るたび、いまだにキュンとはするんですが・・・。」

「うわあ、さりげなくとんでもないノロケ発言が出ましたね。まいっちゃうなあ。それじゃあ・・・最近一番キュンとした出来事は?」

「そうですね。最近の一番と言えば・・・。」



 * * * *



撮影が終わったのは、てっぺんをとうに越えた夜半過ぎ。
さすがに疲れを隠せぬまま、急いで帰り支度を始めた。

「蓮、おつかれ。明日は14時撮影スタートだそうだ。明日もハードな一日になりそうだから、帰ったらしっかり身体を休めてくれ。」

そう言う社さんもまた、目の下のクマを隠せずにいる。

「わかりました。明日もよろしくお願いします。」
「キョーコちゃんにもよろしくな。大事な時期なのに、毎日こんな調子で申し訳ない。」
「いいえ、仕事ですから。」

頭を下げながら、耳に届くキョーコの名につい口元が緩む。


そう・・・家に帰れば君がいる。
俺と名字を同じくした、君がいる。

そう思うだけで、このひどい疲れも半分吹き飛んでしまう。
残りの半分も、帰って君の顔を見ればあっという間に消えてなくなるだろう。


心なしか少し軽くなった身体を引き摺りながら、急ぎ足で車へと向かった。


 *


この時刻の道路は、都心でも妙に空いている。
週末には華やかなざわめきにあふれる街角も、週半ばの今は趣を異にした。
墨色の空をわずかなネオンがぼんやりと照らし、疲れ切った目に景色が濡れたように滲む。
時折思い出したように、対向を車のライトが走り抜け、そのたびにしばしばと目を瞬かせた。

そんな街をかき分けるように、自宅へと一直線に車を走らせる。


―――1分でも早く、君のもとへ帰るために。



「スピードの出し過ぎはぜったいだめですよ。」

ついアクセルを踏みこむたび、眉を寄せながらそう言う君が思い出される。

「うん。わかってる。ちゃんと気を付けているから。」

記憶の中の君に向かって返しながら、慎重にハンドルを切る。

(君こそ、ちゃんと寝たかい?)

最後の休憩時間に入れた電話で「先に寝るように」と言っておいた。

家にいるときは、どんなに俺が遅くなっても必ず笑顔で迎えてくれる君。
けれど、連日それが続いては、さすがに君の体調のほうが心配だ。
第一明日は、君も早朝からCM撮影の予定だろう?
それなのに、いつものように寝ずに待っているなんてこと、絶対させられない。

だから「でも・・・。」と反論しかけた君を遮り、有無を言わさず「寝ていなかったら怒るから。」と返した。


(ちゃんと寝ているといいけれど・・・)



*



そんな風に君を思ううち、気がつけばもう目的地に着いていた。

一人のときから住んでいるマンション。
車を降り、こうして冷え切ったエレベーターに乗れば、ふとあの頃の孤独だった自分を思い出す。

扉の向こうの灯りがすっかり消えていればなおさらだ。
だから・・・。

「ただいま。」

もう1人ではないことを自分に思い出させるように、玄関でひとりそっと声に出した。
しんと静まり返ったその場所が妙に肌寒く感じるのは、きっと気のせいじゃない。

(参ったな。君の笑顔に迎えられないだけで・・・。)

ぶるりと背筋が震えた。

そんな自分に苦笑しながら、首元を緩め、まず寝室へ向かう。
ドアを開けてそっと覗けば、まず見えたのは小さくこんもり盛り上がった掛布。

足音を忍ばせながら近づくと、毛布からほんの少し顔を出して微笑むように眠る君が見えた。
ただそれだけで、幸せに胸がぎゅっと締め付けられる。

(よかった。)

安堵の息が零れて落ちた。

そこに君がいる。
ただ、それだけのことを神に感謝する。

『ただいま。』

小さく囁きかけたら、ぷるんと光る唇がまるで返事をするようにむにゃむにゃと蠢いた。
その様子があまりに可愛くて、なんだか少し悪戯したくなってしまい・・・・。
吸い寄せられるように近づいて、桜色の唇にそっとキスをする。


「もう一回。」

とたんに耳元で小さく声がした。

(え?)

驚いて戸惑って一瞬固まった唇に、柔らかな口づけがそっと返される。

「おかえりなさい。久遠さん。」

間近でくすりと零された囁き。
思わずあっと声をあげてしまったけれど、すぐに気づいて微笑み返し、それから目の前の小さな額を指先でちょんと小突いてみる。

「寝ててって言ったのに。」

ぺろりと小さく舌を出し、上目遣いにみつめてくる君。
キラキラと輝く瞳が、悪戯っぽく瞬いて。

「だって、どうしても久遠さんの顔を見てから眠りにつきたかったから。だから・・・」

小悪魔みたいに俺を魅了するから。


――――――だから、最後まで言わせず唇を塞いだ。




 * * * *



蘇った記憶に、蓮は思わず微笑んだ。
この上なく柔らかで愛情に満ちたその表情に、客席から悲鳴とも歓声ともつかぬ声が上がる。

「一番は・・・。」

「一番は?」

「それはここに収めておかせてください。」


そう言って胸元を指さしながらウインクする蓮の隠しようもない喜色に、今度は客席だけでなく、出演者からも悲鳴に似たどよめきが起きたのだった。





Fin
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