もしも、蓮キョが藤●隆的プロポーズをしたら・・・ (後編)

深夜の秘密会談?がきっかけで、スタートしたカルテット企画。
ブログをお休みさせていただいていることもあり、書いたっきり長らく放置しておりました。
こちらは、藤●隆さんのプロポーズエピソードについておしゃべりしていたときに浮かんだ妄想の後編です。




「おかえりなさい。蓮さん。」
その言葉を最後まで聞く前に、蓮はキョーコを強く強く抱き締めた。

今すぐ彼女を誰の目も届かない場所へ閉じ込めてしまいたい。
会えなかった3ヶ月を、彼女はいったいどんな風に過ごしていたのか。
自分の知らない彼女の1分1秒が気になって仕方なかった。

「ねえ、キョーコ。」
焦る気持ちをそのままに、蓮はその耳に噛みつきそうな勢いで囁いた。

「今でも俺を、愛してる?」

そんな蓮に、キョーコはバカですねとでも言うようにやさしく微笑みかけると、彼の頬を両手で押さえ、そっと自ら口付けた。


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もしも、蓮キョが藤●隆的プロポーズをしたら・・・(後編)
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ハリウッドで成功を収めた蓮の元へは、国内外を問わず出演オファーが殺到するようになった。
海の向こうとこちらを行き来することが増え、これまで以上に忙殺される日々。

キョーコの多忙ぶりも負けてはいなかった。
春には出演作で日本アカデミー賞助演女優賞を獲得し、今は、初めての主演映画の撮影にとりかかっている。
演技力は、若手女優NO.1といわれ、出演依頼が引きも切らない。
浮いた噂が一切なく、スキャンダル知らずなのも、人気に拍車をかけていた。

交際を隠したまま、同じ部屋で同じ朝を迎えるようになった2人。
けれど、すれ違う時間は格段に増え、ときには何日も顔すら合わせないこともある。
下手すると、電話やメールもままならない、そんな毎日が矢のように過ぎていった。


蓮が、楽屋に置かれたテレビでキョーコの姿を見かけることも当たり前になった。
時には何日も直接目にできていないキョーコの笑顔。
その隣には蓮ではない別の男性俳優が立っていることも多い。


早く。
早く。
彼女をひとり占めさせてくれ。
俺だけのものにさせてくれ。


キョーコが自分以外の男に話しかけられているのをみるたび。
しかたないとはいえ、笑顔を返すのをみるたび。
それが、自分のいない場所で起きればなおさら。

焦りに焦る心を持て余しながら、蓮はやきもきと指折り数えるようにして、約束の“1年後”を待っていた。


*


―――12月。
待ち望んだ“1年後”がついにやってきた。


その日、午後から翌日にかけて2人揃ってのオフが与えられた。
それは2人の交際を知っている数少ない味方―――ローリィと社―――からの、ちょっとしたプレゼント。
もっとも、代わりにそれまでの数週間は互いに忙しすぎて言葉を交わすことすらままならぬほどだったけれど。

昨年と同じように食事をとり、昨年と同じように食後のひとときを過ごす。
ようやく訪れた誰にも何にも邪魔されぬ2人だけの時間。
そうして夜はゆっくりと穏やかに更けていき、やがて時計の針がてっぺんで重なろうとする頃。

蓮の心臓は張り裂けそうになっていた。

ポケットに隠したリングケースにそっと触れる。
去年キョーコは、気持ちが変わらなければ自分からプロポーズすると、確かにそう言っていたけれど。
そんな不確かな現実を待つつもりなどなかった。

―――今度こそ。

そう思う気持ちとは裏腹に、不安な気持ちがぞろりと這い上がってくる。

―――もしかしたらまた、断わられるかもしれない。

以前よりずっと忙しくなった2人。
ここ数週間はゆっくり話をする暇すらなかった。
せっかく顔を合わせても、まるでかつての先輩後輩時代のように、急いで挨拶を交わすだけの関係。
同じベッドに転がり込んでも、細い身体をぎゅっと抱きしめて眠るのがせいぜいだった。

そう。
こんな状況がこの1年、少なからず続いているのだ。
蓮の預かり知らぬところで、キョーコが自分以外の誰かと“運命の出会い”を果たしていた、なんてことだって・・・。

(・・・ないとは言い切れない。)

キョーコのことは信じている。

ただ・・・。

自信がなかった。
昨年のことが、蓮の心から自信を削り取っていた。


(いや・・・たとえNOと言われても、また待てばいい。)

必死にそう自分に言い聞かせる。

(彼女が俺といっしょにいてさえくれるなら・・・。)

普段の蓮なら考えられぬほどの弱気。
それでも、勇気をかき集め、蓮はキョーコの手をとった。


「キョーコ。1年前のことを覚えてる?」

ぴくん

キョーコの手が大きく震える。
嫌な未来を予感させる震え。
けれどそのことには気付かなかったふりをして、蓮はポケットからそっとリングケースを取り出した。


パチンッ

震える指先で蓋をあけ、キョーコに差し出す。
小さな四角い箱の中央でキラキラと輝くそれは、大きなひと粒石に2人の思い出の蒼い石をあしらった、特別のもの。

「キョーコ・・・。俺の気持ちは1年前と何も変わっていない。変わらず君を愛している。君がいないと・・・俺はきっと生きていけない。だからどうか。どうか俺と結婚してください。」

ひざまずき、そう希った。
けれど返事が落ちてこない。

続く沈黙が怖すぎて、蓮は思わずキョーコから視線を下げた。

「キョーコ・・・。」

(いや、絶対に退くことはできない。)

もう一度勇気を振り絞り、強く視線を向け直す。


「私は・・・。」

そのとき、ようやくキョーコが口を開いた。
ゆっくりとその唇が言葉を象っていく。

「私は・・・」


こくん。
蓮は思わずツバを呑みこんだ。
その先の言葉を聞くのが、正直怖い。


「私は・・・気持ちが変わってしまいました。」

キョーコの声が、蓮の望まぬ言葉を紡いだ。
恐ろしいほどはっきりと。


コトンッ。

蓮の手から指輪ケースが滑り落ちる。
と同時に、おさまっていた指輪が飛び出し、綺麗に磨かれた床をころころと転がっていった。
まっすぐキョーコの足元へ。

トンッと素足の指先にぶつかり、倒れこむリング。
同じように倒れこみそうになる身体を必死に支える。

「そう・・・か。」

蓮は凍りついたように動けずにいた。

締めつけられるような想いが込み上げ、全身を苦しく歪ませる。
それでも―――。

聞かなければいけない。
聞かずにはいられない。


「でも・・・」

結婚は無理でも、今のまま俺と付き合っていてくれる?
これまで通り、いっしょにいてくれる?


まさか、それも・・・まさか・・・。


口を開きかけた蓮を遮るように、キョーコがすっとしゃがみこんだ。
俯いた蓮の視界の端に、指輪をつまみあげる細い指先が映る。


「もうっ!蓮さん。ちゃんと最後まで聞いて下さい。」

茫然と固まる蓮の目の前にそっと差し出される指輪。
拗ねたような口調で、けれど笑いを含んだキョーコの声に、蓮はハッと顔を上げた。
目の前で微笑むキョーコの表情は、どこまでも明るく、どこまでもやさしい。

「私は・・・。」

膝をついていた蓮と同じ高さに目線を合わせ、キョーコはその瞳を覗き込んだ。

「私は・・・。前よりももっともっと貴方のことを好きになってしまいました。」

目を瞠る蓮に、穏やかな笑顔を向ける。


「私と結婚、してくださいませんか?」

そう言うとキョーコは蓮の手をとり、大きな掌の中に持っていた指輪を押し込んだ。
そして蓮の手を両手で包み込むようにぎゅっと握り締める。

「あなたが、はめてくださいね。」

左手が一度蓮の手から離れ、改めてすっと差し出される。
ほっそりと伸びた薬指が、まっすぐ蓮へと伸びた。

「あなたの手で、はめてもらいたいんです。」

ぱちぱちと瞬きを繰り返し、ほんのり頬を染めながら、キョーコははっきりとそう言った。

「お願いします。」


何を思う間もなく、蓮は即座に目の前に佇む左手を握り取った。
自分の身体が、かつてない震えに襲われているのを感じる。

けれどそれは、決してイヤな震えではなかった。
さっき感じたのとは真逆の震え。


そして、次の瞬間・・・。

手に取った指先から溢れるほどの温もりが流れ込み、その箇所がすべてを委ねるように力を解いたのがわかった。


「・・・キョーコ。」


愛しい指先に手づからリングをはめると、蓮はそこにそっと唇を落とした。




「ありがとう。」





Fin

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コメント

  • 2013/09/24 (Tue)
    21:48

    ジリジリの一年と、蓮さんの不安と緊張で、キョコはんは受け入れてくれるはず!と思いつつもドキドキして読み進めさせていただきました!
    感動的なプロポーズをありがとうございました~

    霜月さうら #- | URL | 編集
  • 2013/10/07 (Mon)
    21:31
    Re: タイトルなし

    こんにちは^^ コメントありがとうございます!
    藤井さんのプロポーズ秘話を知った時、速攻蓮キョ変換しちゃいました(男女は逆ですが)
    焦らされ切った敦賀さんがこのあとどう爆発しちゃうのか・・・ちょっと心配ですw

    ちなぞ #- | URL | 編集

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