ペットを飼うなら

「やんっ!くすぐったいっ!・・・あ、だめ。そんなとこ舐めちゃ」


最上さんの声・・・だよな?
なんか妙に色っぽいけど。まさか・・・な。


「あーん、もうっ!コラッ!だめでしょっ!痕になっちゃう」


まちがいない。この声は最上さんだ。
どういうことだ!
君はいったい、この扉の向こうで誰と何をしているんだ!


身体中から沸き立つ怒りにまかせて、蓮はラブミー部室の扉を勢いよく開けた。

――――――――――
ペットを飼うなら
――――――――――

にゃあ♪


キョーコの前には、1匹の子猫が鎮座していた。
ほかには当然のように誰もいない。


「あ、敦賀さん、こんにちは」
(ひえええええ!なになになになにーーーーっ!?なんで敦賀さん怒ってるの!?)


(・・・・え?ね、こ? なんだ、俺の勘違い、だったのか…)
自分のとんでもない勘違いに気付き顔を赤らめながら、あわてて笑顔を作る蓮。


「や、やあ、最上さん。かわいい子猫だね」

(あれ?気のせいだったのかしら。今、ものすごいどす黒オーラを感じたんだけど…。まあ、いいやっ)


「そうなんです。これから撮影に使う猫ちゃんなんですけど、それまで預かっててほしいって依頼をうけて。やんちゃでじっとしてくれないから困ってたんですよ。でもすっごく可愛いですよね。」


眉をハの字にしかめ、小首を傾げたキョーコの可愛らしさに瞬殺される蓮。

(その顔は、反則だ・・・最上さん。俺には猫より君のほうが100倍いや1000倍可愛いよ)


頭をひと振りしたかと思えば、先ほどの怒りはどこへやら、蓮は神々しい笑顔を浮かべ、するするとキョーコににじり寄っていった。


「あれ?こんなとこに傷があるね」
言いながらキョーコの首元をするりと撫でる。

「さっき抱き上げたときに爪立てられちゃって・・・って、ひゃああああっ!!!! い、いきなりなにするんですかっ、敦賀さん!その触り方セクハラですっ!。」


「ん?早く治るようにおまじない」
キョーコの叫びにもまったく動じることなく蓮は傷痕をさわさわと撫でさすり、そのままさりげなくキョーコの隣に腰かけた。



「そういえばね。俺も飼いたいなあと思ってたんだよ、子猫。」

「へえ、そうなんですか」

(なんか意外。敦賀さんって猫好きだったんだ・・・)


「飼い猫は病気を防ぐためにも室内飼いのほうがいいらしいですよ。敦賀さんのお宅は広いから室内飼いでも安心ですね。ちなみに1頭よりも多頭飼いのほうがおすすめだそうです」
先ほどのさわさわ攻撃のショックも忘れ、キョーコは少し自慢げに先日出演した動物番組で得た知識を披露してみる。


「いや、飼いたいのは1匹だけで、もうこの子って決めてるんだ」

(敦賀さんあんなに忙しいのにいつの間に猫チェックを・・・?)


「敦賀さんが気に入る猫ちゃんって、どんな子なんですか?」


「そうだね。全然手がかからないどころか、俺よりしっかりしてるくらいで・・・」
(敦賀さんよりしっかりっていうことはないだろうけど、よっぽどちゃんとしつけられてるのね。それとも子猫といってももうずいぶん大きいのかしら)


「食事も心配いらないし」
(最近は便利な自動給餌機があるものね)


「すごくさわり心地のいい茶色い毛並みと、くりっとした目が特長で・・・」
(敦賀さんのことだからきっと血統書付の超高級猫ちゃんよね。チャンピオンの血筋とかかも)


「あまりに可愛いから、会うたびにどんどん好きになっちゃって。もう、このまま家に連れ帰って飼っちゃおうかと思うくらいなんだ」
(そんなに頻繁に会うって・・・?あ!もしかしたら社さんのお宅で飼ってる猫かも!それなら送り迎えするときに顔を合わせるだろうし。そうね、きっとそうだわ!)


「それなら頼んでみたらいかがですか?すごく気に入っちゃったから飼わせてくれないかって。そんなに熱心なんですもの。その熱意を伝えれば(社さんも)聞いてくれるかもしれませんよ」


「そうかな。もし最上さんだったらそのお願いきいてくれる?」

「そう、ですね。敦賀さんなら愛情たっぷりに育ててくれそうだし・・・。」


「もちろん!俺のところにきてくれたら誰にも負けないくらいの深い愛情を捧げるな」
(敦賀さん、本気だわ・・・)


「敦賀さんがそんなに(猫を)好きだったなんて知りませんでした」
「そう?別に隠してるつもりはなかったんだけど」
(そういえば、敦賀さんといっしょのときに猫の話題が出ることなんてなかったものね。私が知らないのも当然だわ)


目の前にいる子猫を指先にじゃれつかせながら、慈しむような優しい笑顔をこちらに向け話を続ける蓮をみているだけで、キョーコはなんだか心癒されるような気がした。
(子猫を無心に可愛がる敦賀さん。子猫より可愛いかもっ!)



(あ、でもそんなに可愛い子なら、社さんのお家でもきっと大切な存在よね。ペットとはいえあの社さんのご家族ですもの。愛情いっぱい育ててるんだろうし。そう簡単には手放せないわよね・・・そうだ!)


「もしダメって言われたら、その子がもうちょっと大人になるまで待って赤ちゃんを作ってもらったらいかがですか」

「赤ちゃんか・・・。うん。それもいいね」

「ええ。きっと生まれてくる子もとっても可愛いですよ」

「うん。俺もそう思うよ。ものすご~く可愛いだろうなあ。小さいうちは世話が大変だろうけど」

(そうよね。敦賀さん一人暮らしだし、撮影やなにかでお忙しいのに、生まれてすぐの子猫を飼うなんて難しいかも。でもこんなに飼いたがってるんだし・・・そうだ!)


「赤ちゃんが来たら、私もお世話するの手伝いますね!意外と得意なんですよ。世話するの」

キョーコが胸を張って言ったのを聞き、蓮が嬉しそうにほほ笑んだ。

「うん。最上さんならきっと上手に世話できるね。そのときはよろしく頼むよ。」


「はいっ!おまかせくださいっ!」



って・・・え?
なんでここで突然夜の帝王が登場するの?
敦賀さん、なんだか顔が近づきすぎなんですけど。


「や・く・そ・く・だよ」

わざわざ耳元でささやかないでください!
意味わかんないです!
首筋に息かかってます!


「も・が・み・さん」

み、耳!
耳になにかやわらかいモノが触れてますって!!!


ガタンッ!

「ね、ね、ね、ね、ねこが!猫がテーブルからお、お、落ちちゃいそうですよ!」
溢れんばかりの蓮の色香に耐えきれず?勢いよく立ち上がったキョーコをみつめながらクスクスと悪戯っぽく笑う蓮。

「猫なら、ちゃんと籠の中にいるけど?」



「もーっ!またからかったんですね!」
ぷくっと頬を膨らませ怒るキョーコを愛おしそうに見つめながら蓮は続けた。


「かわかったわけじゃないから、そんなに怒らないで。可愛い顔が台無しだよ」

「つ、つ、つるがさーん、だからタダの後輩にそういうことは・・・」

言いかけたキョーコの唇を指先でそっとおさえる。


「ちゃんと約束したからね。とりあえず、今夜はうちに来てくれるかな。いろいろ準備したいしね」


「準備って、猫の?なんか話が早すぎませんか?」

キョトンとしたキョーコに、にやりと悪魔の笑みを浮かべる蓮。



その後の二人になにがあったか・・・・は猫のみぞ知る? 
 



fin

スキビ☆ランキング ←参加してみました。よろしくお願いします。
関連記事

コメント

  • 2014/03/05 (Wed)
    10:42
    はじめまして!

    はじめまして、chimarisと申します。
    今日からこちらにおじゃまさせて頂きました!
    まだペットをかうなら、と行ってらっしゃいの時間シリーズしか読ませて頂いてませんが、甘くてキュンキュンしちゃうストーリーにメロメロです!
    これからもよろしくお願いします!!

    chimaris #- | URL | 編集
  • 2014/03/06 (Thu)
    07:32
    Re: はじめまして!

    > chimarisさん

    コメントありがとうございます!
    キュンキュンしていただけてよかったです~(=´∇`=)
    のんびり更新のマイペースサイトですが、よかったらまたぜひいらしてくださいね^^
    お待ちしております♪

    ちなぞ #- | URL | 編集

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する