★中編 angel's ladder(完) の記事一覧

angel's ladder (1)

キョコ誕間近ということで、ほんのりそれっぽいものを書いてみました。1話が短めです。



月明りが微笑む9月。
空高く澄み渡る10月。
北風が強さを増していく11月。
そして、やってくる12月。
終わりの月。

――――私の、生まれた月。

angel's ladder (2)

空を覆う厚い雲が、本格的な冬の到来を感じさせる。
日が傾くにつれ吹き始めた冷たい風は車内にまで入り込み、たいした距離でもないのにヒーターをつけるか迷うほどだった。

angel's ladder (3)

車に乗り込んだ瞬間、驚いて目をみはった。
目の前の景色があまりにも広く、あまりにも丸見えだったから。

(どうして乗っちゃったんだろう。)

angel's ladder (4)

騒がしいエンジン音が消え、ガラス越しに響く風の唸りだけになった車内は怖いほど静かだった。
薄暮に、白く浮かび上がる秀麗な美貌。
体温が伝わりそうなほど近くにその端正な顔を寄せられ、身じろぎ一つできない。

angel's ladder (5)

視点がころころ変わって読みにくいですがお許しくださいませ。


吹き抜ける北風が俯いた鼻の奥をツンと刺激する。
思わず滲んだ涙の感触に、心の糸がぷつりと切れた。
乗り越えたはずの過去の記憶が、彼方から津波のように押し寄せてくる。